藤浪は二刀流も可能だった!?

 11月24日に行われた阪神の体力測定で藤浪晋太郎投手(19)が投手陣のみならず、野手が対象の種目でもチーム上位の数値をたたき出したことが分かった。志願してスイングスピードなど野手向けの測定に臨み、トップクラスの成績を出したという。高卒1年目から10勝した身体能力は、野手でも大成していた可能性を秘めていた。

 ライバルとして何かと比較された日本ハム大谷に引けを取らない。藤浪のボディーは、二刀流の能力を持ち合わせていた。投手としてはもちろんのこと、野手としてもスペックが高かったことが判明した。

 先の体力測定は、投手と野手で項目を分けて実施された。ピッチャー陣が測定したメディシンボールのサイドスローとバランスディスク上での片足立ち、この2項目で25人中1位。さらに全ての項目で、平均以上の値をマークした。

 それだけじゃ飽き足らないのか、野手が測定する種目に「やってみていいですか」と志願して参加していた。スイングスピードと下肢の動きから体幹の回旋へのエネルギーの伝わり方を計測すると、チームトップクラスの数値をたたき出してしまった。

 権田トレーナーは「新人ではあるけれども、全体的に高い数値でした。しかし今後も1年間投げていく体力をつけるために、強化しないといけない」と話した。鳴尾浜では若手選手が中心となり自主トレがスタート。メンバーに加わった「隠れ二刀流」藤浪は「体全体のパワーをつけたい」と、このオフのパワーアップに意気込んだ。

 今季は24試合に登板して10勝したが、9回を投げたのはわずかに1試合。中西投手コーチからも「来季は少しでも長いイニングを投げてほしい」と声が飛び、藤浪自身も完投試合が増えることを熱望していた。

 シーズン終盤の失速と、CSでは広島に2連敗した。息切れを防ごうと、チームはトレーニング改革に着手。その一環として全選手対象の体力測定が行われた。「体力測定の結果からどのような点を狙ってトレーニングするかフィードバックをしました。弱いところを補強して、長所を伸ばす。ウエートする時間を多く設けます」と権田トレーナーは説明した。測定結果を基に、選手個々に合わせたトレーニング法を伝授。もちろん藤浪にもスペシャルメニューが課された。

 まだ19歳。体重、筋力、と体の成長は無限大だ。2年目のジンクスを打破するため、「野手でもすごかった」藤浪がこの冬、鍛え上げる。【宮崎えり子】

 ◆藤浪は何でもできちゃう

 秋季キャンプのクロスカントリーで歴代最速タイムを記録した。2歳から中学3年まで続けた水泳が得意。中学時代はクロール、平泳ぎ、背泳、バタフライの4泳法を自在に操った。200メートル個人メドレーで規定タイムを切り、日本水泳連盟の泳力検定1級を所持。英検準2級を持ち、得意科目は国語、社会、生物という。先輩選手の動きをまねるのも得意で練習などで披露。ゲームも「モンスターハンター」がかなりの腕前という証言がある。