<オープン戦:ソフトバンク5-8西武>◇23日◇宮崎アイビー

 「ヨシボーイ」が再び躍動!

 ソフトバンクのドラフト2位の森唯斗投手(22=三菱自動車倉敷オーシャンズ)がオープン戦デビューで1回無失点と好投した。自己最速149キロを計測し、わずか6球で3人を料理。紅白戦2試合とも無失点の勢いをキープした。オフの補強による大型戦力にあって、新人でただ1人キャンプA組(1軍)に食らいつく右腕が、開幕1軍に前進した。

 「ヨシッ!」。ハイトーンの声とともに、威力ある球が打者に向かっていった。ルーキー森は9回に登場。4番森本の初球に145キロをマークし、球場をざわつかせた。2球目の外角直球は149キロ。社会人時代の最速を3キロ更新して、右飛に打ち取った。大崎はカットボールで懐を攻めて一ゴロ。最後は木村をカーブ、スプリットで簡単に追い込むと、外角低めへのスライダーで空振りの3球三振に斬ってとった。

 「いい緊張感で思い切っていけて良かった。自己採点は90点。1球目が浮いたのがマイナス。カットボールとスライダーは切れていた。ああいうボールを増やしていきたい」

 小学校時代から花粉症に悩む。試合前も大きなマスクを着用した。登板前のブルペンではガチガチに緊張。マウンドに上がるとすべてを忘れ、一心不乱に投げ込んだ。

 1球ごとに発する声が特徴的。視察した工藤公康氏(日刊スポーツ評論家)からは「ヨシボーイ」との愛称をつけられた。本人は「いいと思います」と気に入っている。先発新垣と2番手オセゲラが失点を重ねただけに、いきの良さが目立った。郭泰源投手コーチは「投げっぷりがいい。低めにボールが集まっていた」。秋山監督も「今の形のままいくべきだろうね」と目を細めた。

 バックネット裏のスコアラーも、躍動ぶりに視線を注いだ。オリックス曽我部スコアラーは「荒削りな部分はあるが、速い球は対応しづらいからね」と警戒。開幕カードで対戦するロッテの高木スコアラーは「腕の振りがいい」とし、発する声に注目。威圧感を「感じるかも」とした。対戦した西武の亀井スコアラーは「五十嵐とサファテがいない時は、代わりができるんじゃないですか」と、守護神争いにも割って入る可能性まで示した。

 もちろん森に遠い先まで見据える余裕はない。「こういう結果を出すと開幕1軍につながってくる。自信になるが、ここがゴールじゃない。次もあるので」。必死に先頭集団にしがみついていく。【大池和幸】

 ◆森唯斗(もり・ゆいと)1992年(平4)1月8日、徳島・海陽町生まれ。浅川小1年から外野手で野球を始める。4年から投手。プロゴルファー尾崎将司も卒業生の海部高(旧海南高)では1年からベンチ入り。2年秋から背番号1。甲子園出場はなく、県大会ベスト8が最高。10年に三菱自動車倉敷オーシャンズに進む。昨夏に伯和ビクトリーズの補強選手として都市対抗に出場。175センチ、77キロ。右投げ右打ち。遠投110メートル。背筋力200キロ。足のサイズは27・5センチ。好きな食べ物は肉、イチゴ。