そう、虎には新井貴がいる!
16年目の開幕をベンチで迎えることが濃厚な阪神新井貴浩内野手(37)が今季への思いを激白した。新打法に取り組み、オープン戦で結果を出し続けながら、新外国人ゴメスを獲得したチーム事情に直面。それでも練習中から声を張り上げ盛り上げる。野球の神様はきっと見ている-。不安要素が目立つチームで、ベテランの存在が頼もしい。
-オープン戦は打率3割3分3厘。今シーズン取り組む新打法への手ごたえは
新井
やろうと思ったことは100%近くできている。あとは本当に自分にフィットさせて、例えば凡打でも納得した形になるように精度を上げていく必要がある。
-パワーを体の内側にためて、ゆったりとタイミングを取る。バットは約2センチ長くした。打率も本塁打も求めるように映るが
新井
そう考えてもらっていい。バットに伝わる力がこれまでとは全然違うという実感がある。バットのしなりも、体のしなりも感じられている。
-プロ16年目にして新打法に取り組んだ。かつてのフォームに近づいたという声もあるが真意は
新井
(本塁打王の)05年とか、昔の映像を見ながら、たどりながらやってきた。ただ、昔に戻したというよりは、あのころのいいところも取り入れて、先に進んだというイメージ。体力の衰えはまったく感じていないし年齢は関係なしに向上心がなくなったら終わりだから。
-キャンプはMVP。オープン戦でも結果を出した。それでもゴメス合流から一塁先発はなく、開幕もベンチが濃厚だ
新井
オフの間から「競争はない」と言ってきたでしょう(苦笑)。こういう状況になることはある程度、覚悟していた。(球団も)新しい4番打者として契約したわけだから。でも周りも競争だ競争だと言ってくれていたし、そういう雰囲気になっていたから、オープン戦では結果を出しにいった。開幕までに自分のやれるアピールはしたという実感はある。
-練習では声を出し、雰囲気を盛り上げている
新井
野球はチームスポーツだから。自分1人のためにチームの空気が悪くなってしまうのは良くない。俺は最年長なわけだから後輩に嫌な思いをさせるわけにはいかない。腹の中にはいろいろなものがあるよ。でも、いつどこで(試合に)出て行っても(ゲームに)入っていけるように準備しないといけない。
-感情をコントロール
新井
よく昔「お天道様」という表現をしたよね。今はあまり使わないのかもしれないけど。おばあちゃんによく「お天道様が見てるよ」と言われたもん。だれも見ていないからと言って、陰でこそこそと悪いことをしたり、人をだましたりしてはいけないと教わってきた。
-スタメンでもベンチでも、やることは変わらないということか
新井
野球の世界に限らず、どの世界も、こういうことはあるはず。そういう人はたくさんいると思う。俺も今はこういう状況だけど、野球の神様、つまり、お天道様はしっかり見ている。練習や準備を適当にやったりする人にはバチが当たる。お天道様にツバをかけるようなことは絶対にできないよ。
◆新井の開幕戦
広島時代、プロ2年目の00年に初出場した。同年からレギュラー格となるが、04年はオープン戦の打撃で左手を負傷。「中手手根じん帯損傷」と診断され、開幕登録を外れた。05年は三塁をラロッカに譲ってベンチスタート。ラロッカの負傷を受けて初出場した開幕3戦目に2本塁打。一塁でレギュラーを奪回し43本塁打でタイトルを獲得した。昨年は右肩痛などで出遅れ、開幕の4番一塁は弟良太が務めた。