<オリックス7-2楽天>◇22日◇京セラドーム大阪

 オリックスの強さがこのプレーに凝縮されていた。同点で迎えた6回裏無死一塁。ヘルマンの打球は左翼後方に打ち上がった。楽天松井稼がキャッチ。ありふれた凡打から、試合が動いた。一塁走者のウィリー・モー・ペーニャ外野手(32)がタッチアップ。191センチ、118キロの巨漢は楽々と二塁に進んだ。見事に相手のスキを突いた。

 ペーニャ

 どうこう言うことじゃなく、当たり前のこと。深い所に打球が飛んだので、それを見ていた。

 27本のアーチを放つパ・リーグの本塁打王に、走塁のイメージは結びつかない。しかしペーニャの意識は高かった。これで打線が盛り上がる。「ああいうことができる外国人はあまりいない。鼓舞させる」とT-岡田が決勝のタイムリー二塁打。伊藤の適時三塁打も飛び出し、3得点を生んだ。

 昨年はシーズンを通し、競り負ける展開が目立った。1点にこだわった野球を徹底。それが現在の躍進につながっている。森脇監督は「1つ前の塁を取ることがいかに大事かをあらためて教えてくれた」と絶賛した。パワーだけに依存しない攻撃陣は、スランプにも強い。ペーニャは言った。「いつも本塁打を打てると思っていない。自分ができることを一生懸命やる」。1つの塁の先には得点があり、勝利がある。貯金を「20」に戻し、首位ソフトバンクに2・5ゲーム差と迫った。【田口真一郎】