中日白井文吾オーナー(86=中日新聞社会長)が8日、来季V奪回へ大型補強の全面支援を約束した。名古屋市内の中日ビルで谷繁元信兼任監督(43)が今季終了を報告。席上「好きなようにやってくれ」と大型補強を了承。FAで獲得調査を進める西武炭谷に加え、オリックス金子取りにGOサインを出した。外国人やドラフトも含め球団の金庫を大きく開ける。

 竜の総帥は谷繁兼任監督に向かって言ったという。

 「補強は監督の思う通りにやってくれ。監督のやりたいように、体制を立て直してほしい」

 今季終了報告でV奪回を厳命したオーナーは、引き替えに補強費の“白紙小切手”を手渡していた。

 球団はポスト谷繁として、今季国内FA権を取得した西武炭谷の獲得調査を進めているが、これで完全なGOサインとなった。炭谷がFA宣言した場合は即獲得に乗り出せる環境が整った。炭谷自身も他球団の評価に興味を示していて、軍資金投入の確約は大きな前進だ。

 さらに、今季国内FA権を取得したオリックス金子の獲得調査に乗り出す方針も固まった。谷繁監督もこの日、最重要補強ポイントを「先発投手」と明かしたが、球界を代表するエースはまたとない存在。すでに阪神が興味を示すなどFA宣言すれば争奪戦は必至で、かなりの資金が必要となるが、オーナーは涼しい顔で言った。

 白井オーナー

 去年の(予算)枠でやれとは言わない。どういう金額が必要なのかは知らないけど(落合)GMや監督が思ってる額なら大した額じゃない。

 兼任監督1年目の大物補強はFAの小笠原1人で、オフの契約更改では8億円超の年俸を削減。だが2年連続Bクラスに終わった反省を踏まえ、今オフは金庫を開ける。総帥は「GMから大改革をやる話があった」とも明言。森ヘッドコーチがドミニカ共和国とキューバに渡航して探す新外国人やドラフトなど、大補強で再建を推し進める。

 白井オーナー

 故障者続出の中、よく4位にもっていった。でも来年は飛躍的にいい成績を残してほしい。監督からも『相当いい成績を残せるよう努力します』と決意表明があったよ。

 今季低迷を責めずにむしろ奮闘とたたえ、来季巻き返しを期待した。全面バックアップで2年目を支える。【松井清員】

 ◆FA補強費

 補強候補の推定年俸はオリックス金子が2億円、西武炭谷は7700万円。炭谷には4年契約で総額5億円以上を用意するとみられる。FA宣言すれば争奪戦が必至な金子の相場は不明だが、過去のエース級のFA移籍では4年20億円などの条件で決着している。これらはFA選手に提示するもので、さらに移籍の場合は旧球団に補償が必要。Aランク(旧球団上位1~3位)とみられる金子は1億円+選手か1億6000万円、Bランク(同4~10位)の炭谷は3080万円+選手か4620万円が発生する。