流出したエース左腕の後釜に、神宮の人気者を指名?

 ロッテ山室晋也球団社長(54)が16日、QVCマリンで緊急会見を開き、フリーエージェント(FA)でヤクルトに移籍した成瀬善久投手(29)の補償として、「つば九郎がプロテクトされていない」と人的補償ならぬ“鳥的補償”を求めるプランを披露した。マーくんら4体のマスコットがファンに親しまれているが、さらなる活性化を模索。お菓子の大盤振る舞いで、ヤクルトの「顔」に破格の3年契約を提案し、移籍を訴えた。

 欲しいのは、「即戦力」のつば九郎だった。ロッテ山室球団社長が緊急会見で、大真面目に切り出した。「成瀬選手がFAでヤクルトに移籍し、非常に苦しい。金銭、人的といろいろあるが、ウチの球団としては『鳥的補償』ができないかと考えた」。

 人的補償のプロテクトリストに、当然ながらつば九郎の名前はなかったという。「個性のあるキャラクター。ウチのはのんびりしている。カツを入れてほしい。複数年契約。いい条件で迎え入れたい」と、マスコットへのコーチ兼任で3年契約を提案した。

 1年目は「チョコパイ」2年目は「コアラのマーチ」3年目は「パイの実」と、ロッテの人気お菓子を年俸とする考え。つば九郎の好物ビールは「優勝したら、しこたま飲ませてあげたい」と出来高に加えた。

 この日、東京・渋谷で中日のマスコット、ドアラとともに「球界NO・1マスコットは俺だ!」というDVD発売イベントに参加していたつば九郎は、まさかの事態に動揺したのか「だいりにんのすこっと・ぼらすしにそうだんします」とコメントした。

 しかし、野球協約には、鳥による補償が可能かは記されていない。ヤクルトの衣笠剛球団社長も「渡せません。カモメとつばめは相性が悪いはず。同じ鳥類だからね。評価していただいてありがたいですが、グッズ売り上げもNO・1と貴重(鳥)な戦力。20年頑張ってくれている功労者(鳥)ですから」と、即座に移籍を否定した。

 ロッテとしては、つば九郎の獲得が不調に終わるならば、マスコットの見直しに取りかかる。山室社長は「今のキャラクターは賛否あるけど、戦力外にするのは忍びない」としながらも、強力な新戦力を迎え入れたい考え。「ファンと話ができたり、個性あるキャラクターが欲しい」と熱望した。【竹内智信】

 ◆ロッテの球団マスコット事情

 かもめをモチーフにしたマーくん、リーンちゃん、ズーちゃんとペンギンのCOOLがいる。ヤンキース田中の台頭もあり「マーくん」と言うと田中が登場すると勘違いさせ、がっかりさせることがあるという。ドアラ、つば九郎に比べ芸がなく、人気面では苦しい状況。球団としては彼らを語学学校に通わせ、日本語が話せるようにするプランも持っている。