阪神が今オフ、右肘を手術した金子千尋投手(31)について、来季開幕から登板できる可能性が高いと判断していることが18日、分かった。FA獲得に向けた調査段階から「右肘」と「メジャー志向」が懸念材料だったが、この日までに球団メディカルスタッフの意見も聞いた上で、リスクは高くないと考えているという。大きなハードルを越え、今週中に正式に条件提示する。

 なぜ、阪神が金子獲得に向かうのか。大きな根拠の1つが明らかになった。球団幹部によれば、11月に右肘骨棘(こっきょく)除去手術をした金子について、この日までに球団内では、さまざまな資料を検討し、メディカルスタッフの意見も聞いた。その結果、スタッフは来季の開幕に間に合う可能性が高い症例であると進言したという。

 金子は11月にオリックスから国内FA宣言した直後に、右肘の手術をすると発表した。すでにその時点で獲得調査を行っていた阪神だが、それを受けて手術後の状態、来季への影響などを慎重に調査していた。その結果、手術によるリスクはそれほど高くないという結論に至った。

 金子側に正式に条件提示することが明らかになったのは今月14日だが、それまで阪神は慎重に調査を進めていた。その大きな理由が「右肘への不安」と「メジャー志向」だった。その1つがほぼ解消されたことで晴れて、条件提示へと踏み切ることができた模様だ。

 また、もう1つの懸念材料である「メジャー志向」については、来週にも実現する可能性がある本人との“直接交渉”で、真意を確認する方針だという。球団は基本方針としてポスティングシステムを認めないスタンスだが、複数年プレーした後ならば、交渉に応じる姿勢もあるという。まず金子の真意を確認した上で、もし希望があれば、交渉の中で双方が決着点を探す問題となりそうだ。

 球団内で検討している条件面については、この日までにほぼ固まっている。金子側の希望年数によって複数のパターンを設けており、最大で3年15億円級の提示を用意して、いよいよ正式交渉へと突入していく。現在、他球団の動向も調査しており、球団首脳によれば、ライバルは3、4球団ではないかという情報もある。来季開幕から計算できる大きな戦力を求めて、虎が金子のハートにぶつかっていく。