ドラフト1位安楽智大投手(18=済美)ら楽天の新人9選手が10日、仙台市内の泉犬鷲寮にそろって入寮した。各自が熱い思いを胸に、こだわりのグッズを部屋に持ち込むなど新天地での生活をスタートさせた。育成1位で福島市出身の八百板卓丸外野手(17=聖光学院高)は、1つ上の兄からプレゼントされたグラブを手に一番乗りで入寮。「3年以内に1軍入りを目指す」と誓った。新人合同自主トレはあす12日から行われる。

 育成からはい上がる!

 1日も早い1軍昇格を目指す八百板はこの日早朝、「余裕を持って行かないと」と家族とともに車で福島市内の実家を出発。集合時間の正午の2時間前には到着した。もちろんルーキー9人中、一番乗り。「早すぎないかな…」と緊張した表情で泉犬鷲寮のドアを開けた。

 部屋に入るとさっそく、大事そうに1つのグラブを取り出した。かつて聖光学院でともに白球を追った兄飛馬(19=富士通アイソテック)が社会人1年目の初任給で贈ってくれた宝物で、昨夏はこのグラブでチームの甲子園8強入りに貢献した。「思い入れがあるんで、これは外せないです」。プロとしての1歩を踏み出すにあたっては「俺も絶対に(プロに)行くから」との言葉をかけられた。そんな兄の思いも胸に、八百板は「3年以内に支配下選手になる」と決意を新たにした。

 初めての寮生活。「さみしいかなと思って」と、年末にディズニーランドで購入したくまのプーさんのぬいぐるみも連れてきた。抱き枕サイズで約1万円の癒やしグッズで、プロ生活への不安を軽減させる。「寒さには慣れているし、体調管理のために加湿器も用意しました。準備は万全かな」とにっこり笑った。

 12日からは合同自主トレがスタートする。聖光学院の恩師斎藤智也監督(50)からも「上で活躍できる力はある」と背中を押された。「たくさんの人が応援してくれている。今はまだまだですが、早くチームの一員として活躍できるようになりたい」。背番号122の、八百板の挑戦が始まった。【成田光季】

 ◆八百板卓丸(やおいた・たくまる)1997年(平9)1月17日、福島市生まれ。鎌田小1年で野球を始める。福島三中ではのだまクラブに所属し投手、内野手で3年時に全国大会出場。聖光学院では2年秋からベンチ入り。家族は両親と聖光学院OBの1歳上の兄。兄の名前は野球漫画「巨人の星」の主人公・星飛雄馬から「飛馬(ひゅうま)」。卓丸は元巨人投手の江川卓氏の「卓」と白球を表す「丸」から。182センチ、78キロ。右投げ左打ち。