日本ハム中田翔内野手(25)が7日、今春キャンプ最多の打ち込みを敢行した。全体練習後に居残りでロングティーを開始。時間や球数の制限を設けず、打撃フォームを確認しながら納得するまでバットを振り続けた。計231スイングで145本の柵越え。大粒の汗を流しながら、82分間の「翔タイム」だった。実戦初出場が予定される明日9日の紅白戦(名護)へエンジンがかかってきた。

 妥協なき82分間だった。中田は一心不乱に自分と戦っていた。午後2時20分から始めたロングティー。最後の一振りで柵越えを確認するとホッとしたように「終了~」と叫んだ。時計の針は同3時42分を指していた。気がつけば、231スイングで145本の柵越え。今キャンプ最多の打ち込み。「納得して終わらんと気持ち悪い。打てて良かった」。最後までやりきった姿に、見守っていたファンからも拍手が起きた。

 次第に自分の世界に入り込んだ。開始直後は先輩の武田久が「10本(連続本塁打)いったら帰るから」と、ハッパをかけられ奮起。「今からっす」と気合を入れ、約15分後に指令された連続本数を達成。その後も意気揚々とスイングを重ねたが、疲労とともに増えていくミスショットにイライラも募った。「あかん、最悪」「また一からや…」。終始、自らを責め続けながらラストは5連発をノルマに設定し、クリアした。

 後輩の順調な調整ぶりにも刺激を受けていた。フリー打撃で上沢と対戦。「上沢を懲らしめてやろうと思って」と、意気込んで打席に入ったが24球で柵越えはなし。「素直に、いい球だった。逆にやられた感じになっちゃった」と苦笑いも、仕上がりの良さに舌を巻いた。自身も、ここから状態を上げる。「いい感じできている。あとは振り込むだけ」。初実戦は明日9日の紅白戦の予定。主砲がなりふり構わない乱れ打ちで、ペースアップの号砲を鳴らした。【木下大輔】