<練習試合:楽天1-1阪神>◇17日◇沖縄・宜野座

 残念!

 門限延ばせず!

 楽天が練習試合を行い、引き分けた。戦う前から選手の目の色が違った。対外試合、3試合目。しかも星野仙一シニアアドバイザー(SA=68)も観戦に訪れる中、勝ちにこだわる理由があった。

 試合開始3時間半前にさかのぼる。宜野座から車で約10分、練習拠点となっている金武町の球場。試合に移動する前の円陣で歓声が起こった。中心にいたのは大久保博元監督(48)だ。

 「勝ったら門限は(午前)2時!

 未成年は変えないけどな!」。勝てば、通常午前0時の宿舎門限の延長を高らかに約束した。宿泊地は県庁所在地の那覇から車で約1時間の名護市内。2時間の延長となれば、それだけの自由が与えられる。休日前日に発せられた一言に燃えた。

 試合で、選手は掲げる「超機動力野球」を積極的に実践した。これまでの2試合では主にサインで盗塁企画をさせたが、選手に走塁フリーの「グリーンライト」を与えた。塁に出たら走る。岩崎、岡島、島内と3つ盗塁を失敗したが、これが布石となった。0-1の9回無死一塁から阿部にバスターエンドランを仕掛けさせた。

 大久保監督は「向こうは来ると思ってなかったね。(走塁失敗の)3アウトはキツイけど、効いてたでしょ」。これ以上の走塁はないと踏んだ阪神の裏をかいた。前進した三塁手の頭を越す左前打。好機を広げ、9回2死から同点に追いつく粘りを見せた。

 勝利への執念が生んだ同点劇。大久保監督は「よく走ってくれる。積極性が出ている」と笑顔で手応えを口にした。内容充実の試合に報道陣から「門限は?」と質問が飛ぶと「引き分けはダメでしょう。甘いよ」とピシャリ。引き分けでは「グリーンライト」は与えられなかった。【島根純】