<東都大学野球:東洋大5-1亜大>◇第6週初日◇11日◇神宮

 ドラフト1位候補の東洋大・藤岡貴裕投手(4年=桐生一)が亜大に完投勝ちして高橋昭雄監督(63)にリーグ史上2人目の通算500勝をプレゼントした。東浜巨(なお)投手(3年=沖縄尚学)を相手に1失点完投。今季4勝目で通算25勝とし、9奪三振を加えて303とした。5奪三振の東浜も302としたが、8回途中4失点で降板した。

 恩師に贈る1勝は、今季一番の快投だった。9回2死。東洋大・藤岡の144球目は直球146キロを記録し、微動だにしない亜大・茶原の前を通過した。見逃し三振。すると開口一番こう言った。「監督さんの500勝ができた。自分も勝てたし、良かったです」。その左腕で、就任40年目の高橋監督に1部リーグ500勝目をプレゼントした。

 節目なのは藤岡も同じだった。今季自己最多タイの9奪三振で、通算奪三振を300の大台に乗せた。記念すべき300個目は7回2死二塁、147キロの見逃し。「狙いました。数えてたんで」と、マウンドで思わずにやけた。2回に本塁打から3連打されるも、4回1死一塁で難しい投手ライナーを併殺に仕留めるなど、自らリズムをつくった。

 これで今季4勝、通算25勝目。投げ合った亜大・東浜に並び現役最多勝利となった。27日に迫ったドラフト会議の目玉左腕に、1位指名を表明済みのロッテなど日米12球団のスカウトが集結。藤岡も「緊張するけど、楽しみ」とプロ入りへ自覚が高まってきている。

 前日の練習後、「監督さんは選手の能力の引き出し方が上手で、尊敬できる人。ウイニングボールを渡したい」と話していた藤岡。完投勝利で有言実行、と思いきや…。捕手の藤本が、ボールを主将の鈴木に渡してしまった。「あれ?

 こっちに持ってきて、って言っておいたのに!」。慌ててベンチに駆け寄り、鈴木と仲良く贈呈式となった。

 だがまだ気は抜けない。春秋連覇へ、連勝で首位の亜大に並ぶ必要がある。抑え登板になるが、藤岡は今日もマウンドに立つ。【鎌田良美】