<明治神宮大会:亜大1-0福岡大>◇12日◇大学の部準々決勝◇神宮

 亜大(東都)はソフトバンク1位指名の東浜巨投手(4年=沖縄尚学)が2安打、14奪三振で福岡大(九州3連盟)を完封。接戦を制し、今日13日の準決勝に進出した。

 東浜は持ち味の洞察力を遺憾なく発揮し、ドラフト指名後初の公式戦を代名詞の完封で飾った。1回、直球を投げた際に「真っすぐに合っていなかった。ボールの下をバットが通っていた」と見抜いた。相手打線の直球狙いを察知すると、これを逆手に取った。あえて直球の割合を増やし、1回2死から3回まで大会記録(72年関西大・山口高志)にあと1と迫る7者連続三振。今春の全日本選手権2回戦に並ぶ自己最多の14三振を、すべて直球とツーシームで奪った。

 学生野球は通常デーゲームで、ナイターに慣れていない。東都リーグはDH制だが、3回に打席に入ると「球が見えにくい。(球速が)計測以上に感じた。打者の立場も分かった」と、直球中心の配球に間違いはないと確信。この日の最速は143キロで今秋最速の145キロには届かなかったが、これで十分と丁寧にコースを突いた。6回1死まではノーヒット投球。三塁を踏ませぬ安定感を見せ、バックネット裏のソフトバンクスカウト陣を喜ばせた。

 三塁側観客席では、この日の第1試合で敗れた沖縄尚学ナインが東浜を見つめていた。東浜は大会後に、教育実習で社会科を教えて、野球部にも顔を出す予定。エース比嘉健一朗投手(2年)は「スピードが140キロぐらいでも切れがあってすごい。前の試合で150キロを超えた球もあったけど、バットに当てられていた。配球を聞いてみたい」と投球術の伝授を熱望した。

 亜大は明治神宮大会に2年連続出場だが、東浜は昨年、右肘痛の影響で出場できなかった。今大会に懸ける思いは強い。「投げられなくて先輩に迷惑をかけた。大学生活は多くてもあと2日。悔いを残さないようにしたい」。大学日本一の称号を加えてから、プロの世界に飛び込んでいく。【斎藤直樹】