封を開ける前に、右横にいた渡辺監督の快哉(かいさい)が聞こえてしまった。初のドラフト会議参加で6球団が競合した花巻東・菊池の抽選に臨んだ真弓明信監督(56)は、ドキドキ感を味わえなかった。

 「そう、拍子抜けというか、見る前に横から声が聞こえて(外れが)分かってしまった。でも先にいきなり持っていかれたらどうしようもない」。

 右手を突っ込み、バックハンドで右端の1枚を引き抜いたくじ引きはノーチャンスだった。それでも、その後の指名が流れるように進み留飲を下げた。外れ1位で法大・二神一人(22)、2位で立命大・藤原正典(21)と左右の大卒投手を指名した。

 「二神は即戦力で右の本格派。先発ローテーションに入ってくれる投手。藤原も外れ1位候補で、残っていたのがラッキー。満足度は80点以上です」。

 上位で即戦力投手を補強し、3巡目以下では野手を中心に選択した。3位の福岡大・甲斐雄平(21)、5位の近大・藤川俊介(22)はともに強化ポイントだった右投げ右打ちの外野手だ。「予定通りというか、ここだけの話し、予定以上だった。藤川選手のところがね」と“お釣り”がくるほどの満足感。4位の西条・秋山拓巳(18)と6位の帝京・原口文仁(17)という高校生バッテリーの指名を見届けて、二神への指名あいさつに急いだ。