ダブル指名の吉報待つ。プロ野球のドラフト会議が今日25日、東京都内で行われる。道都大から、大累進遊撃手(駒大苫小牧)と佐藤峻一投手(ともに4年=北見柏陽)の2人が候補に挙がっている。大累は右打者ながら一塁到達3秒8の快足で、9球団がリストアップしている。道内の高校、大学と進んだ選手が、大学から直接ドラフト指名(育成枠除く)を受ければ、史上初の快挙となる。

 道都大の大累が運命の日に、胸の高ぶりを抑えられなかった。ドラフト会議を翌日に控え、北広島市内の野球部グラウンドで、明治神宮大会(11月10日開幕)に備え練習を行った後「今はドラフトが楽しみです。楽しもうと思います」と胸の内を明かした。

 最大の武器が「足」だ。昨春、公式戦で一塁までの到達時間が3秒8をマーク。非公式ながら大累が目を通したデータでは全国の大学生で3位に入った。「上位は左打者ばかりでしたから、やれるという自信が湧いてきました」。50メートルは5秒7。今春の札幌6大学リーグ戦では10試合12盗塁をマークした。

 山本文博監督(57)によると、9球団に調査書を提出。特に巨人、日本ハム、DeNA、ロッテから好評価を受けている。日本ハム山田GMは「何と言っても足の速さが魅力」と公式戦を2度見て、練習にも足を運んだほど。遠投100メートルと肩も強い。打撃はまだ非力なところはあるが走塁、守備で即戦力として評価を高めている。

 今春のリーグ戦途中に、山本監督からプロ球団の動きを聞いた。社会人野球かプロ野球かの決断を促された。駒大苫小牧高の2年先輩、楽天田中将大投手がプロの世界で戦う姿や、初めて全国制覇したときの主将、駒大苫小牧・佐々木孝介監督(25)が教育実習にきて「夢に挑戦しなさい」の言葉を思い出し、プロに進路を決めた。

 プロを意識したのは09年日本ハムの優勝パレードをテレビで見たときから。「プロ野球っていいなあ」と憧れた世界が、今、手に届くところまできた。指名がなければ、エース佐藤峻とともに社会人野球の西濃運輸に内定しているが「(プロなら)どこでも行きたいです」。新たなスタートの日となることを信じて、指名を待つ。【中尾猛】

 ◆大累進(おおるい・すすむ)

 1990年(平2)8月31日、札幌市生まれ。野球は札幌西岡小3年から西岡スターズで始める。札幌西岡北中、硬式の札幌新琴似シニアでは三塁手。駒大苫小牧高入学後に遊撃手になり、1年秋にベンチ入り、3年夏の南北海道大会8強。道都大では昨年秋リーグ首位打者賞、昨年春、秋にベストナイン。現在は主将。家族は両親、姉、兄。176センチ、70キロ、右投げ右打ち。

 ◆道内のプロ志望届提出者

 大学では佐藤、大累のほか4選手で、東農大北海道の185センチ左腕、飯田優也投手はソフトバンク、中日の2球団に調査書を提出。旭川大の工藤祐稀外野手と中川啓也内野手、東海大北海道の枳穀(きこく)涼介内野手も志望届を出している。高校生では唯一、女満別の二階堂誠治投手が提出。道外では、東海大の伏見寅威捕手(東海大四高出)、駒大の白崎浩之内野手(岩見沢緑中出)、中大の鍵谷陽平投手(北海高出)ら道産子の上位指名候補がいる。