「藤浪スター計画」を神様がプロデュース!!

 阪神桧山進次郎外野手(43)が20日、今秋ドラフト1位で入団した大阪桐蔭・藤浪晋太郎投手(18)の強力バックアップを約束した。チーム最年長としての自覚は強く、最年少で加入した「金の卵」を守る。来年2月の沖縄春季キャンプなどで意思疎通を図り、年の差25歳のベテランが猛虎軍団になじめるようサポートする。

 阪神の「代打の神様」が、来春から新加入する黄金ルーキーを導く。西宮養護学校での触れ合い会。質問コーナーで、藤井彰に「イケメン」と名指しされた桧山は笑顔で「否定しません!」と話した。間髪入れず「来年は藤浪君が入ってくる。18歳のイケメンに負けないよう頑張りたい」と続けた。これぞ、神様流の藤浪プロデュースだ。大ベテランが年の差25歳の高卒新人を話題に取り上げ、子どもたちを沸かせた。

 桧山

 生え抜きのスター選手が入ってくるのは、近年になかったことだからね。あれだけ甲子園で活躍すると、精神的に強いだろう。阪神を背負って立つ選手には間違いない。環境に支配されないように、キチッとやってくれればいい。

 高校3冠投手・藤浪の加入は今オフの阪神の最大トピックスだ。球団は首脳、和田監督らが育成方針を定めるため会議を開催した。藤浪をスターに育てる「Fプロジェクト」はチームにとって大きなテーマ。それだけに、年の差25歳のチーム最年長もまた、行く末を親身になって考える。

 高校球界では向かうところ敵なしだったが、猛者がひしめくプロの世界は想像以上に厳しい。鳴り物入りで入団しながら結果を出せない「金の卵」も、数多くいる。ファンの期待を一身に背負う重圧、プロの高いレベル…。さまざまな要素が藤浪の眼前に立ちはだかる。だからこそ、桧山のまなざしも温かい。来年2月には沖縄春季キャンプで顔を合わせる。コミュニケーションを図るだけでなく、食事などで心を通わせれば、それだけで「金の卵」にとって勇気百倍だろう。

 桧山は言う。「阪神のエースではなく、日本球界のエースになってもらわないといけないからね」。17日の契約交渉後、チームの内情を「生ぬるい環境がここ数年あった」と評し、引き締める姿勢を取った。真剣に猛虎復活を願うからこそ、藤浪の独り立ちにも労を惜しまない。【酒井俊作】