伝説のエースナンバー66を背負う!

 ソフトバンクから1位指名された盛岡大付の松本裕樹投手(18)が26日、盛岡市内で入団交渉を行い、合意に達した。契約金は8000万円、年俸800万円(いずれも推定)。予定の背番号は、かつての右の本格派エース斉藤和巳(36)が付けた「66」。右肘の故障を抱えているにもかかわらず、金額、背番号ともに大きな期待をかけられた松本は「早く1軍で活躍したい」と意気込んだ。

 数字に驚いた。松本に明かされた背番号は66だった。03年に沢村賞を取るなどタイトルを総なめし、その後肩を痛めて現役引退したホークスファンにとって特別な存在、斉藤和巳投手が背負っていた番号だ。松本は今夏に右肘靱帯(じんたい)炎症を抱え、現在もリハビリ中。「ケガのこともありましたが、その上で期待されているというのがあったので良かった」と、期待の番号を喜んだ。

 闘志を前面に押しだす斉藤と、表情を崩さず淡々と投げる松本。特徴は違うが、「勝ち」にこだわる姿勢は一緒だ。斉藤はケガに泣かされたが、11年間で79勝23敗、通算勝率7割7分5厘と驚異の数字を誇った。松本も小学生時に100試合以上登板し、負けたのは1度だけ。激しい痛みを抱えながら臨んだ今夏甲子園東海大相模(神奈川)戦では、力を抜いて変化球で相手を幻惑し、クレバーに勝ちをつかんだ。

 松本は映像で見た大先輩の印象を「直球が速いわけでもなく、いろんな球を使っていて、負けない投手」と話し、「そういった選手になれれば」と続けた。現在、福岡を拠点に評論家活動をする斉藤氏に「いろんなことを教えてもらいたい」と対面も熱望した。「球団から信頼される、勝てる、負けないピッチャーになっていきたい」と背番号に負けない投手になるつもりだ。

 もう1つ、契約金の数字にもびっくりだった。「見たことのないゼロが多かったので、どう使っていいかも分からない」。使い道を考え、何らかの形で学校や両親に恩返しするつもりだ。プロに行く実感が少しずつ湧いてきた。大きな数字の重みを感じながら「早く1軍で活躍して、ファンのみなさんの前で活躍する姿を見せられたらいい」と、目を輝かせた。【高場泉穂】<松本裕樹アラカルト>

 ◆生まれ

 1996年(平8)4月14日、横浜市生まれ。

 ◆球歴

 南瀬谷小1年から軟式チーム南瀬谷ライオンズで野球を始める。南瀬谷中では瀬谷ボーイズに所属。盛岡大付では1年春からベンチ入り。2年秋から背番号1。

 ◆甲子園

 1年夏は背番号11でベンチ入りも出場はなし。2年春は背番号8の投手兼外野手。初戦の安田学園(東京)戦に先発して8回2/3を6安打9三振3失点、6番打者として2打数1安打。3回戦の敦賀気比(福井)戦には2番手で登板して4回2/3を1安打1三振無失点、4番で4打数1安打だった。3年夏は右肘の故障を抱えながら、東海大相模(神奈川)戦に登板し、8安打3失点完投勝利。続く敦賀気比戦では2回2/3を投げ10安打9失点で降板した。

 ◆野菜嫌い

 野菜は「おいしくない」と、一切口にしない。実家から送ってもらう野菜ジュースと牛乳で栄養を補う。

 ◆家族

 両親、兄、弟。兄健太(20)は、社会人チーム「フェデックス」に所属する右腕投手。弟跳馬(13)は横浜・瀬谷ボーイズに所属する左腕投手。

 ◆サイズ

 183センチ、80キロ。足のサイズは29センチ。右投げ左打ち。