侍ジャパンの「たっちゃん」ことラーズ・ヌートバー外野手(25=カージナルス)が、日本球界の歴史に新たな1ページを加える。8日はチームとともに大阪から東京へ移動し、東京ドームでの練習に参加した。史上初めて日系選手として日の丸を背負うヌートバーは、9日のWBC1次ラウンド初戦の中国戦(東京ドーム)に「1番中堅」でスタメン出場が濃厚。新時代の侍リードオフマンとして、世界一への先陣を切る。

   ◇   ◇   ◇

もう、ヌートバーの心は高ぶりまくっている。「日本代表でプレーできる機会に“スーパー興奮”している。初戦でプレーすることが待ち遠しい」。WBC初戦の前日会見。約24時間後の中国戦へ向けて、早くもテンションMAXだ。

9日は、日本球界にとっても歴史的な1日となる。史上初めて米国で生まれ育った日系選手が侍ジャパンの一員としてWBCに出場する。日の丸を背負うことは「僕や僕の家族にとっても夢がかなっている。チームの一員として(守備位置や打順が)どこであろうとチームのために貢献したい」と、決意も明かした。

東京ドームでの練習では、希望制だった打撃練習に参加。41スイングで4本の柵越え。最後のスイングでは右翼席中段へぶち込んで、最終調整を終えた。

メンタル面も最高の状態だ。大阪ではカ軍で行っている「ペッパーミル・パフォーマンス」を披露すると、チームに一気に浸透。「僕としては、チームが一体となるようにと思って。みんなが受け入れてくれて、自分らしくいさせてくれる。だから、僕はリラックスできる。ファミリーの一員として、すごく感謝している」と、笑顔で話した。

鳴り物応援のある独特な日本の野球文化も「大好きだね。僕の母が、野球に対して愛情を持っていることが理解できたよ」と、今や超満員の声援の中でプレーすることを心待ちにする。「ベストを尽くすこと。みんなが自分のできる仕事をする、そうすれば、このチームは最終的に求める場所(世界一)にいられる」。“たっちゃん”が、世界一への切り込み隊長となる。【木下大輔】