元プロ野球選手の父を持つ新序出世力士が、晴れ姿を披露した。172センチ、102キロの山中(22=式秀)。父律俊(のりとし)さん(50)は南海(現ソフトバンク)の内野手だった。

 父は千葉・印旛高の3番遊撃手として高3夏、甲子園に出場した。好打者として注目され3回戦進出。83年ドラフト4位でプロ入りした。「家に緑の南海ユニホームや、甲子園の土もありました」。アキレス腱(けん)を痛め1軍出場を逃したが、山中には誇らしかった。

 自らも中学で野球部に入ろうとした。だが、植物アレルギーが現れて、屋外での活動が困難に。室内の柔道やレスリングで汗を流し、高校からはレスリングと合気道に力を使った。国際武道大でも武道を研究。そのとき「相撲の動きを見ていて、自分に合っている気がした」と興味を抱いた。

 1度は整骨院で働くも諦めきれず、実家の茨城県利根町に近い式秀部屋を尋ねた。「入門が決まったとき父さんは喜んでくれました。『頑張れ』と」。

 かつて、元ヤクルト尾崎亀重を父に持つ隆乃若は関脇まで上り詰めた。「父さんを超えたいです」と、山中も新しい人生を踏み出した。【今村健人】