九州場所の土が、今場所から変わった。地方場所ではそれぞれの地域で取れる土を使用しているのだが、これまで数多くの力士から滑るという指摘が多くあった。それを受けて日本相撲協会が動き、東京・両国国技館の土俵の盛り土に使用している「荒木田」が地方場所で初めて使われることになった。

 「荒木田」は粘りがあり、速乾性もあることから盛り土に適し、現在は埼玉県内で取れるものを使用。場所前にはトラック5台で約60トンが運ばれて、土俵が作られた。

 では、力士らの反応はいかに。38歳ベテランの平幕の豪風は「明らかに違う。踏んだ瞬間に分かりましたよ。今までより確実に良い」と好感触。一方、足を滑らせるような内容が目立つ新小結阿武咲は「変わらないです」と言うも、他の力士の取組を見て「滑るねぇ」とつぶやいた。

 誰も土を言い訳にしたくない。しかし、力士は足の指で「土俵の砂をかむ」といわれるほど、土とは切っても切り離せない関係にあるが、稀勢の里は「弱い人が言ってるだけ」と一刀両断。土に惑わされずにいつもと変わらない、白熱した取組に期待したい。【佐々木隆史】