今回で、このコラムに私が出稿するのは基本的に最後となる。社内の担当替えで相撲担当から離れることになった。そこで最後に、5年後の番付を予想してみることにした。答え合わせが楽しみになるように、あえて2024年11月の九州場所、三役以上の番付と限定してみる。

横綱:朝乃山、狼雅

大関:貴景勝、北の若、琴勝峰、豊昇龍

関脇:琴ノ若、納谷

小結:明生、霧馬山

関係各所から反論が出そうだが…。まず5年後ということで、すでに30代の白鵬、鶴竜、豪栄道、さらに29歳の高安と、現在の上位陣の多くが引退している想定。そして、そのころには30歳でベテランとなっている朝乃山は、20代中盤の狼雅、北の若、琴勝峰、納谷らに苦しめられながらも、右四つになれば強さは健在といったところか。

現在23歳の貴景勝は、来年以降も何度か優勝すると予想する。ただ、一般的に四つ相撲よりも安定感に欠く押し相撲だけに、2場所連続優勝、またはそれに準ずる成績をなかなかクリアできず、綱取り場所で途中休場というケースも。30歳で悲願の横綱昇進と、本当の円熟期は7年後ぐらいとみる。むしろ、早くに横綱に昇進した場合、持ち前の真面目な性格と責任感から、強行出場を繰り返し、現役生活を短くしかねない。現在までは出世が早いが、オーバーワークで太く短い力士生命とならないよう、あわてず横綱を目指してほしいと個人的に思っている。

このころの特徴としては、モンゴル第3世代の台頭が挙げられるだろう。旭天鵬、旭鷲山らの最初の世代、その活躍を見て、言葉も分からないが夢を抱いて来日した朝青龍、白鵬、日馬富士、鶴竜らの第2世代。さらには、逸ノ城や元貴ノ岩らも当てはまるかもしれないが、主に日本の高校を卒業し、相撲の経験を十分に積み、生活にもなじんでから初土俵を踏んだ狼雅、豊昇龍らが第3世代といえる。闘争心を前面に出して向かってくるスタイルは、第1、2世代と変わらず、日本人力士と良い意味でのライバル関係が築かれるはずだ。

幕下の狼雅の場合、来場所から出身地を母の故郷で幼少期から過ごしたロシアと変更したが、すでに関取として活躍する霧馬山、豊昇龍以上の潜在能力を秘めている。日本人では元琴桜の孫の琴ノ若、元大鵬の孫の納谷ら横綱の遺伝子を次ぐ力士が順調に成長すれば、相撲人気の起爆剤となる。若貴人気が絶大だったころの曙、武蔵丸らハワイ勢とのようなライバル関係が生まれれば、非常に盛り上がると予想する。

もちろん、すべて予想が的中するとは思っていない。名前を挙げた力士が、大ケガを負って大きく番付を下げる可能性もある。だが、その苦しい日々から、はい上がってくる姿に感情移入することも含めて、大相撲の魅力なのだろう。元横綱稀勢の里が、引退前に最後に稽古に指名した相手が貴景勝で、今度はその稀勢の里の弟子が、横綱貴景勝に挑んで負かすかもしれない。そんな壮大で、魅力的なストーリーが生まれることを期待したい。【高田文太】(ニッカンスポーツ・コム/バトルコラム「大相撲裏話」)