世紀の不可解判定に終わった大一番が、再戦交渉に入る。ボクシングの帝拳ジムの本田明彦会長(69)が28日に都内のジムで取材に応じ、ロンドン五輪金メダリスト村田諒太(31=帝拳)がアッサン・エンダム(フランス)に1-2の判定で敗れた5月のWBA世界ミドル級王者決定戦の再戦に言及。「相手側とは来週から交渉に入る。あまり(再戦は)やる気はないが、ゆっくり話すことにしている」と明かした。

 現時点では可能性が低いにもかかわらず今後について説明したのは、27日にWBAが再戦の興行権入札を7月7日にパナマ市で行うと発表したため。両陣営間で興行権やファイトマネーなどの交渉が合意に至らなかった場合に実施される制度だが、同会長は「全然交渉も始まっていないのにおかしな話だ。入札は100%やらない」と不快感を示した。

 村田の元には試合を高く評価した他団体からのオファーも届く。WBOからは9月の試合を打診されたが日程が合わず、10月以降を条件に返答したという。ミドル級戦線は9月16日に米国で3団体王者ゴロフキン対アルバレスの頂上決戦が控え、その結果次第で世界王座を巡る状況は動く。各陣営が動向を見守っており、村田サイドも選択肢を持ちながら見極めていく。

 この日ジムで練習した村田は「交渉は会長に任せてある。決めてもらえれば、どこでも誰とでもやるというスタンスは変わらない」と述べた。【阿部健吾】