「ヒョウ」穴に入らずんば「ヒョウ」子を得ず-。ボクシングのWBC世界バンタム級王者山中慎介(34=帝拳)が20日、都内のジムで13度目の防衛戦(8月15日、島津アリーナ京都)へ最長10回のスパーリングを行った。日本記録の世界戦連続防衛数がかかる同級1位ルイス・ネリ(メキシコ)との大一番の鍵を「中へ」の言葉で表した。相手は接近戦を好む愛称「ヒョウ」のファイター。足でさばくイメージを持つが、この日セコンドからの指示は「中!」だった。「あえて飛び込むことで、的を絞らせない」と意図を説明。周囲を旋回し続けるだけでなく、懐に飛び込み、打ち込み、すぐ外へ出る。目先を変える狙いだ。

 20日は疲労濃く不調も、表情に暗さはない。面識ある横綱白鵬が歴代通算1位タイの1047勝目を挙げた話題を振られると、「一緒のようにつまずくってことですか」。王手がかかった前日11日目の黒星の冗談で切り返してみせた。