Aブロック1位の内藤哲也(35)が、13年以来4年ぶり2度目のG1クライマックス制覇を果たした。優勝決定戦で、Bブロック1位のケニー・オメガ(33=カナダ)と対戦。G1史上最長の34分35秒の死闘を必殺のデスティーノ2連発で制した。これで来年1月4日、東京ドーム大会のメイン出場権利証を獲得。4年前にはかなわなかった最大の夢をほぼ手中にした。

 どちらに転ぶか分からない運命を「運命」と名付けた技で引き寄せた。デスティーノ(スペイン語で運命)=後方宙返り式リバースDDT。何度もオメガの蹴りを食らいながら折れなかった内藤は、スイング式デスティーノに正調デスティーノと連続で決め、死闘に決着をつけた。34分35秒。G1史上、最も長い戦いの末に運命をつかみ取った。

 「ロスインゴベルナブレスに出会ってから2年。あの出会いが、オレのすべてだった。まさに、デスティーノ。思っていることは声に出して言わないと誰にも伝わらない。まずは自分自身が楽しむこと。メキシコに行って、ロスインゴ-の仲間に教えてもらった」

 まさに、この2年の戦いが、内藤のプロレス人生を大きく変えた。棚橋2世と言われ、将来のエースを期待されながら伸び悩んだのは14年まで。15年夏のメキシコ遠征でロスインゴ-に出会い、運命が開けた。制御不能と言われた振る舞いや、奔放な発言。最初は戸惑っていたファンの支持も徐々に広まり、大きなムーブメントになった。

 この日の両国国技館での大声援が内藤時代の到来を物語っていた。試合後、観客とお約束の「デ・ハポン」の大合唱。内藤は「新日本の主役はオレだ!」と絶叫した。4年前、G1制覇でIWGPヘビー級王座オカダとの試合が決まった。しかし、中邑-棚橋のインターコンチネンタル選手権試合にファン投票で敗れ、セミファイナルに降格となった。今後、防衛戦や権利証をかけた戦いが行われるが、このままいけばIWGP王者オカダとの戦いが待つ。実力と揺るぎないファンの支持で、内藤は今度こそ、メインの座を勝ち取る。【桝田朗】

 ◆内藤哲也(ないとう・てつや)1982年(昭57)6月22日、東京都足立区生まれ。05年11月に新日本の入団テストに合格。06年5月にプロデビュー。13年8月のG1クライマックスで初優勝も、翌年1月4日の東京ドーム大会でIWGPヘビー級王座オカダに敗れ失速。しかし、16年にメキシコから制御不能のユニット「ロスインゴベルナブレス・デ・ハポン」を持ち込み大ブレーク。4月にIWGPヘビー級王座初戴冠を果たした。180センチ、102キロ。得意技はデスティーノ。