前WBO世界ライトフライ級王者の田中恒成(22=畑中)が6日、名古屋市内で会見し、フライ級への転級を正式表明した。12月1日付で同王座を返上。陣営はWBOに、来年3、4月に同フライ級王座の挑戦者決定戦を行えるよう要請しており、ミニマム、ライトフライ級に続く、来年中の世界3階級制覇を目指す。田中は現在デビュー10戦、達成すれば、井岡一翔の同18戦を更新する世界最速記録になるのは間違いない。

 同席した畑中清詞会長は「今年の年頭からライトフライは今年いっぱいの予定でした。今の階級では(減量が)健康管理の点でも非常に厳しい」と転級理由を説明した。

 田中はかねてよりWBA世界ライトフライ級王者田口良一との統一戦を熱望し、12月31日の実現に向け、交渉を進めていたが、9月のパランポン戦で両目を眼窩(がんか)底骨折したためにプランが消滅した。「田口選手とお互い本気になっていた。田口選手には『すんません』しかありません」。気持ちの整理をつけるため、前日5日に都内のワタナベジムまで1人で出向き、田口の練習が終わるまでジムの外で待ち、直接謝罪した。「どうしても一言謝りたかった。大人の対応をしてくれました。『フランクにいこうよ』といってもらった。スッキリしました」と話した。

 現在フライ級の世界王座は井岡一翔の返上で空位になったWBAのほか、比嘉大吾が持つWBC、木村翔が持つWBOのベルトなどがある。畑中清詞会長(50)は「誰が、というのはない。挑戦者はやっていただく立場なので」。将来的に、日本ジム所属選手には前人未到の「5階級制覇」の野望がある。田中は「それはデビュー5戦目で(世界)ミニマム級王座を取った時に『5』にひっかけて、適当に言っただけ」としながらも「今となっては5階級制覇することになると思います」と当然のように言い放った。