WWE加入が確実となっているエースに、涙は必要なかった。日本プロレス界の女王・紫雷イオ(28)は同団体ラストマッチを勝利と笑顔で締めくくった。1年7カ月ぶりに岩谷麻優(25)とのユニット「サンダーロック」を結成し、花月(25)、葉月(20)のユニット「大江戸隊」との壮行試合に臨んだ。

 超満員札止め(主催者発表)となる1571人からの「イオコール」を浴びながら入場。先発でリングに出ると、葉月のエルボー連発を受け止め、強烈なドロップキックを返した。場外乱闘に発展すると、観客席に投げられたが、逆に南側スタンドでは月面水爆を仕掛けて応戦。リング上に戻ってコーナーにクギづけになると、壮行試合らしく全所属選手から感謝を込めた技を次々と浴びる一幕もあった。サンダーロックの連係技で花月を捕獲し、紫雷は再び月面水爆をさく裂させると、最後は岩谷が25分45秒、飛龍原爆固めでフォール勝ち。スターダム最後のマットで白星を飾った。

 紫雷は「リング上では絶対に泣かないと決めてプロレスをやってきました。1人なると泣いていましたが、それでみなさんの笑顔を手に入れました。みなさんの笑顔を持って世界へ飛び立ちます」とあいさつ。試合終了後にはリング上で、母理代さん、長姉あね子さんから花束を手渡された。07年のデビューから11年。「たしかデビュー戦の時は新木場(1ST RING)で観客は30人でした。今日はこんなに多くの人が集まってくれた。プロレスは素晴らしいもの。これから新しい夢をかなえに行ってきます」と声をはずませた。

 最後まで口にはしなかったが、WWE加入が確実となっている。「このままで、とは言わないですが、私は11年間でここに来るまで時間がかかっていると思う。そこの部分を大事に。今の日本のトップレベルに立てたのは正しいからだと思うので、今の自分を貫いていきたい」と決意を新たにしていた。