デスマッチ界のカリスマは衰えを知らない。昨年クリスマスに2年半ぶりにKFC(キングオブフリーダムワールド)王座を奪還した葛西純(44)が、挑戦者佐久田俊之(27=大日本)を退け、初防衛した。

「佐久田、俺っちに刺激をくれ!」。葛西の望み通り、大日本から乗り込んできた身長155センチの佐久田が刺激をもたらしてくれた。蛍光灯での攻防の後、佐久田がリングに持ち込んだのは金属製の魚串。刺されかかった瞬間、その串を奪った葛西は佐久田を背後から羽交い締めにし、頬にその串を貫通。さらに串の両端を持ち、楽しそうに佐久田の体をぐるぐると振り回した。

最後はポケットから取り出した大量の竹串を佐久田の頭部に刺し、昨年開発した新技スティミュレイション(刺激)を見舞って、勝利。年明けに右膝靱帯(じんたい)を損傷し1月27日に復帰したばかりだが、その影響を感じさせない圧巻の狂いっぷりだった。

試合後は、ズボンを半分下ろしたパンツ姿で「イキそうになっちまっちまったよ」と恍惚の表情。そして興奮をもたらしてくれた佐久田をたたえた。「キャリア4年で、その恵まれたとはいえない体いかして、デスマッチでこれだけやるんだ。お前を挑戦者に迎えて、俺っちは心底見た目があるな。お前となら何回でもやりてえな」と再戦も希望した。ただ「お前なんてまだまだ足元にもおよばねえ」とこき下ろし、大日本のシングルリーグ「一騎当千」での優勝と、大日本のBWJ認定デスマッチヘビー級ベルト戴冠を再戦の条件とした。

昨年デビュー20周年を迎えた44歳。佐久田を見て「若いっていいな」と本音をもらしながらも、「見ての通り、俺っちもまだまだ若い。全身からエネルギーがみなぎっている。見ての通り、下半身もびんびんだ」と自らの元気さを誇った。「強いやつでくすぶってるやつ、まだ光り輝いてないやつ、そんなやつを相手にして、相手の人生を狂わせて、観客の人生も狂わせるようなそんな防衛戦をやっていく」とさらなる活躍を約束した。