WBA世界ライトフライ級スーパー王座タイトルマッチの調印式、前日計量が30日、会場のエディオンアリーナ大阪で行われた。同級スーパー王者京口紘人(25=ワタナベ)はリミットの48・9キロ、同級1位の挑戦者久田哲也(34=ハラダ)は100グラムアンダーの48・8キロでともにパスした。

プロ46戦目。国内ジム所属選手では、平成以降最も遅い世界初挑戦。久田は報道陣を前に「こんなに多くの人に囲まれて、ちょっとアイドルになった気分」と照れ笑いを浮かべて「京口選手とは互いの距離が似ていると思うので、中間距離の探り合いから、いかに自分のペースをつかむか。果敢に勇気を持って臨むだけです」と、晴れ舞台に思いをはせた。

03年11月のデビュー戦から約16年。もぐらがついに日の目を見る。

15年5月、30歳の33戦目か、試合前に聴き続ける歌がある。ジャパニーズレゲエミュージシャンEXPRESSの「もぐらの唄」。<歌詞>いくつになっても進む俺はこの道を-。当時21勝9敗2分け。折れそうな心に“応援歌”がしみた。「毎日聴いて、励まされて、頑張れた」。そこから怒濤(どとう)の13連勝だ。日本タイトルを奪取、5度防衛。世界戦にたどり着いた。

数カ月前、知人を通じ、EXPRESSと話をした。別の歌「Life」も好きと言うと、歌詞を自分用の“替え歌”にして送ってくれた。「僕用に“テツヤ”とか入っていて。嫁や子供と一緒に聴いて、もう号泣しました」。驚くことに、EXPRESSがボクシングを習っており、その先生が京口という事実も判明した。久田は「京口選手とはほんまに縁があるんやなと。僕が勝って、王者になったら、防衛戦では入場曲にとか、考えてるんです」と苦笑いした。

10月1日。「僕が世界チャンピオンになる日です」。地中でもがき、力をつけたもぐらが、地上に顔を出す。