ボクシングWBA・IBF世界バンタム級王者井上尚弥(26=大橋)が異例となる10分間限定という公開練習に臨んだ。

11月7日、さいたまスーパーアリーナで、5階級制覇王者となるWBAスーパー王者ノニト・ドネア(36=フィリピン)とのワールド・ボクシング・スーパーシリーズ(WBSS)決勝から10日前となる28日、横浜市の大橋ジムで練習を披露。ウオーミングアップから太田光亮トレーナーとの1回のミット打ちを公開した後、詰めかけた約70人の報道陣をシャットアウトし、大一番に向けた最終調整を続けた。所属ジムの大橋秀行会長(54)は「WBSS決勝は大事な一戦」と集中させるための措置と説明。また風邪予防などを含めた体調面も考慮したという。

体を動かす前に15分ほどの取材に応じた井上は「コンディションは良い具合に仕上がっている。あとは体重調整しながら残り1週間やっていきたい」と自信の笑みを浮かべた。先週中に打ち上げたというスパーリング数は通常通り、計120回程度。父真吾トレーナー(48)は「練習は中身の濃いものをしっかりやってきた。コンディションは自己意識も強く、細かいことは言わなくても本人が意識して考えながらやっている」と手応えを口にした。

高校時代から動画などで技術面などを学んできたという軽量級のスター、ドネアとの決勝はカウントダウンに入った。井上は「注目度の高いWBSS決勝がドネアということもあり、自分の中で思いが強い。これは世代交代だと思っている。自分があこがれてテクニックも盗んでいた選手と決勝で戦えることを誇りに思っている」と気合を入れ直した。2万人以上の観衆が集まる試合当日のさいたまスーパーアリーナのイメージも膨らませている。減量もリミットまで残り3キロ程度まで絞ったという井上は、着実に心身を研ぎ澄ませている。