WBA世界ミドル王者村田諒太(33=帝拳)が初防衛に成功した。KO率8割を誇るホープの同級8位スティーブン・バトラー(23=カナダ)の挑戦を受け、5回TKO勝ちを収めた。

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村田は完璧な試合だった。世界戦の経験を重ね、さらに進化している。初回からプレッシャーをかける得意の展開となったが、最も良かったのが左ジャブだ。高くガードを固めるのが村田の魅力だが、そこからノーモーションであれだけ威力のあるジャブを打つのは簡単ではない。あのパンチがあるからバトラーは下がらざるを得なかった。

ペースを握っても冷静だった。ミドル級は一発ですべてが変わる階級だが、左ボディー、右のボディーストレートを効果的に使って相手の意識を散らし、たたきつけるような右ストレートにつなげていた。ミスショットもほとんどなく、フィニッシュの左フックまで理詰めのように追い込んでの完勝だった。

来年は井上尚弥と村田の2大スターが、世界のビッグネームと戦う年になる。未知の世界に足を踏み入れる2人には、ファンがわくわくするような試合を見せてほしい。(元WBA、WBC世界ミニマム級王者、大橋ジム会長)