総合格闘技(MMA)のRIZIN26が31日、さいたまスーパーアリーナで行われる。第13試合では、朝倉未来(28=トライフォース赤坂)と弥益ドミネーター聡志(30=team SOS)が対戦する。

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朝倉は11月21日のRIZIN25大阪大会で、斎藤裕に8戦目にして初めて敗れた。「勝った」と思ったが、0-3の判定負け。「負けるのが久しぶりだった。勝ったときよりもうれしかった」。王者のプレッシャーから解放され、挑戦者になったことで気持ちが軽くなったという。敗れた斎藤についても素直に負けを認めた。

朝倉 いい選手だった。日本にあんなに強い選手がいるとは思わなかった。格闘技は奥が深いし、楽しいと感じた。早く試合をやって倒したい。

次の戦いのモチベーションも上がった。体力温存を考え、保守的になっていた戦いを反省し「1Rで終わる戦いをする」と、ゴングが鳴った瞬間から全力を出す。

強化した点は「ない」と言いつつも1カ月間で「自分のパンチを当てに入る」ことを意識して練習。「失神させるかもしれない」とパウンドにも自信を持つ。勝利した先には斎藤へのリベンジを見据える。

朝倉 チャンピオンとかどうでもよくて、今回の試合で圧倒的に勝って、とにかくリマッチしたい。

斎藤戦ではケガもなく「視聴率を取れるのは俺しかいない」と出場を決意。ユーチューブでの活動がことあるごとに取り上げられるが、格闘技とは分けて考える。「関係ない。どれだけ稼いでも、減量中は食べたり飲んだりできないし。それよりも勝ちたい。やっぱり格闘技が好きなんだよな」。純粋な思いをそのままリング上でぶつけるだけだ。

一方、対戦相手の弥益は、サラリーマンとして働く二刀流ファイター。24日の公開練習では、仕事を定時で上がってから臨んだ。サンタの帽子をかぶって取材に応じる余裕も見せ「この時期って仕事もだんだん忙しくなってきて、いつもはこの時期に試合することはない。今は忙しいのと、試合に対しての気持ちで日々、脳みそがいっぱいになっている感じ」と話す。

格闘技一本でやっている選手には敬意を表し、立場もわきまえる。

弥益 本当に真剣に向き合うというのは本当に他を犠牲にするくらいの取り組みじゃないと、自分はいけないと思っている。

18年にはフェザー級チャンピオンに輝き、DEEPでは7連勝を記録したこともある。朝倉と対戦できることに喜びを感じながらも「1Rから倒しに来る戦いをするのであれば、すごくありがたい。のぞむところ」と闘志を見せる。

10日の会見では「けんかをしたい」と語っていた。路上でけんかをして強さを見せつけていた朝倉とは対照的で「学校内のかわいいけんかはやっていた」と話す。同僚が仕事をサポートし、会社も応援してくれている。仕事納めの30日は前日軽量のため、26、27日と前もって出勤。年内の仕事もしっかりまっとうした。試合後についても「年始しっかり出社できるかな」とほほ笑むサラリーマンファイターが、無類の強さを誇る朝倉にどのような戦いをするのか、注目だ。【松熊洋介】