スーパーフェザー級で、東軍の奈良井翼(21=RK蒲田)が鮮やかな1回TKO勝ちで全日本新人王を獲得し、MVPにも輝いた。

西軍の福田星河(21=エディタウンゼント)と対戦すると、左ボディーで相手ガードを下げさせ、得意の左フックからの連打でダウンを奪取。立ち上がった福田に対し、さらに連打を浴びせて右ストレートでレフェリーストップに追い込み、1回2分5秒、TKOで撃破した。なお技能賞はスーパーフライ級の久保春平(23=宮田)、敢闘賞はライトフライ級の狩俣綾汰(25=三迫)が受賞した。

2度目の新人王挑戦で頂点にのぼりつめた奈良井は「多分、左フックを警戒していると思ったが、うまく当てられる練習をしていて、ずっと考えていました」と得意パンチで勝利できた喜びに浸った。スーパーバンタム級でエントリーした初挑戦の19年は東日本新人王準決勝で体重超過し棄権。今回は一気に2階級上げての挑戦だったが「パンチには自信があった」と自信ものぞかせた。

小学校でキックボクシングを始めた際、自宅1階にサンドバッグが吊された練習場が設置されるなど、常に家族のバックアップがあったという。リング上で父優さん(40)、母幸さん(40)、妹愛さん(17)に向けて「ママ、おとん、愛、ありがとう」と感謝の言葉を送った。特に父が1月1日に50歳の誕生日を迎えており「これがプレゼントです」と満足そうな笑みもみせた。

中学から始めたボクシングで東京オリンピック(五輪)を目指し、自衛隊に入った。射撃練習などをしていたものの、競技に専念できる環境まで時間を要したためにプロ転向を決断。ようやく区切りとなる称号を手にした。7勝(6KO)と負けなしで、日本ランキング入りも確実となった。奈良井は「日本ユース王座がほしい。2~3年で日本王者になりたい。目標は5年で世界王者です」と気合十分だった。