挑戦者の同級1位・矢吹正道(29=緑)が、安定王者の寺地拳四朗(29=BMB)を破り、初挑戦で世界奪取に成功した。 当初は9月10日に組まれた試合が、王者の新型コロナウイルス感染により、延期となった。
寺地は18勝(10KO)1敗、矢吹の13勝(12KO)3敗。
◆ボクシングWBC世界ライトフライ級タイトルマッチ12回戦
寺地拳四朗(29=BMB) | ● | 10回TKO | ○ | 矢吹正道(29=緑) |
【1回】静かな立ち上がり。左ジャブのみでしっかり距離をはかる寺地。矢吹はいきなりの右、左ボディーをしかける。(本社採点 寺地10―9矢吹)
【2回】矢吹は飛び込むように右ロングフック、左ジャブを狙うが、寺地がステップで交わす。寺地は左に加え、右も見せ始める。(本社採点 寺地10―9矢吹)
【3回】矢吹の手数が増える。カウンターの左が2発ヒット。寺地は受けに回りながらも右ボディーをヒットさせる。(本社採点 寺地9―10矢吹)
【4回】矢吹の強引な右ロングフックに対し、寺地はガード、ダッキングで対応。距離をしっかり取る。(本社採点 寺地9―10矢吹)。4回までの公開スコアは矢吹40―36寺地
【5回】矢吹が公開スコアでリードの勢いに乗り、強引に手数を増やす。寺地も距離をやや詰め、右アッパーなどで応戦。(本社採点 寺地9―10矢吹)
【6回】矢吹のタイミングのいい左フック。寺地はプレッシャーを強め、冷静に左ジャブ中心に追い詰める。(本社採点 寺地10―9矢吹)
【7回】寺地がワンツー軸に着実に前に出て、有効打を重ねる。矢吹は前に出る勢いがややダウン。(本社採点 寺地10―9矢吹)
【8回】寺地の重圧に矢吹がロープを背負う場面目立つが、強引なパンチで反撃に出る。寺地は地道に有効打を重ねるが、公開ポイントは3者とも矢吹リード。(本社採点 寺地10―9矢吹)
【9回】寺地が右上まぶたから流血したが、左ボディーから反撃。矢吹は連打で棒立ちに。(本社採点 寺地10―9矢吹)
【10回】防戦一方だった矢吹がタイミングよいヒットから前へ。猛烈な連打で寺地をくぎ付けにし2分59秒、レフェリーが試合を止める。TKOで王座を奪取。
◇矢吹正道(やぶき・まさみち)
◆本名は佐藤正道。「あしたのジョー」の主人公・矢吹丈からリングネームをもらった。ボクサーの弟も同様の理由で力石政法。
◆生まれ 1992年7月9日、三重県鈴鹿市。
◆アマ実績 四日市四郷高でインターハイ出場も、主な実績はない。
◆プロ戦歴 16年3月、1回TKO勝ちでプロデビュー。20年7月、日本ライトフライ級王座を獲得し、1回防衛。
◆家族 恭子夫人(28)と1女1男。
◆仕事 個人で建築業を営み肩書は自称「社長」。
◆タイプ 身長166・4センチの右ボクサーファイター。
◆タトゥー 右胸に「下克上」左胸に「大和心」と刻む。世界王者を目指しプロになった19歳当時、自身を鼓舞すべく入れた。逆文字の理由は「言葉が自分に向かって訴えるように」。
◆緑ジム 元WBA世界スーパーフライ級王者飯田覚士、元2階級制覇王者戸高秀樹以来、3人目。
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