「N-1 VICTORY」Aブロックの清宮海斗(25)が、武藤敬司(58)とのリーグ最終戦を引き分け、勝ち点5の1位で準決勝に進出した。残り10秒で武藤からシャイニングウイザードを食らい、押さえ込まれたが、執念で返した。昨年、今年と連敗していたレジェンドを終始攻め続け、勝ち点1をもぎ取った。3年ぶりの優勝をかけた準決勝は10月3日、Bブロック1位の拳王と対戦する。

「勝てなかったが、負けなかった」。武藤との一騎打ちで、清宮は復活を印象づけた。今大会の象徴ともいえる、怒濤のフェイスロック攻めで追い込み、意識朦朧となった武藤にジャーマンスープレックスホールド3連発。3カウントは奪えなかったが、最後の猛攻をしのぎ、突破を決めた。

どうしても倒したい相手だった。3月に武藤の持つGHCヘビー級のベルトに挑戦して敗れ、そこから苦悩の日々が始まった。5月の大会ではNOSAWA論外に椅子で殴打され顔面から大流血。場外20カウントでリングアウト負けした後も暴れ回るなど、自分を見失った。それでも今月3日のNOSAWA戦で完勝し、ようやく浮上のきっかけをつかんだ。「いつまでもくよくよしていられない。自分でつかんでいく」。再起をかけて臨んだN-1で結果を残した。

これで終わりではない。10月3日後楽園大会では準決勝、決勝を戦う。その先にはGHCヘビー級王者、丸藤への挑戦が待っている。「あと2つ。もう1度俺が勝ってみせる」。3年ぶりの優勝と、18年12月に初戴冠した最高峰のベルト奪取に向け、若きエースが、がむしゃらに突き進む。【松熊洋介】