最後に笑ったのは宮原健斗(32)、青柳優馬(26)タッグだった。33年の歴史を持つ年末タッグの祭典で、史上5組目となるリーグ2連覇を達成。「歴史に名を刻みました!」と、満員の後楽園ホールに、勝利の雄たけびを響かせた。

土肥こうじ、羆嵐組と対峙(たいじ)した決勝戦は、序盤から肉弾戦に発展。合計体重227キロを誇る怪力コンビにパワーで圧倒され、何度も3カウントを奪われそうになった。それでも「返せ! 返せ!」とお互いに鼓舞し合って必死にリングに立ち続けると、最後は、青柳が意地のエンドゲームを決め、羆嵐からタップアウトを奪取。27分24秒の死闘に幕を下ろした。

楽な戦いは1戦もなかった。11月13日のBブロック初戦、エル・リンダマン、T-Hawkのアジアタッグ王者組と激闘を繰り広げるも、30分引き分けに終わり、後がない状況に陥った。それでも宮原は「2連覇のことしか考えていない」と決意を固め、2連勝で決勝トーナメントに駒を進めた。この日の準決勝では、Cブロックを3連勝で勝ち上がった真霜拳號、KAZMA SAKAMOTOの勤王党タッグを逆転の回転足折り固めで沈め、さらに勢いを加速させた。

宮原には、負けられない理由があった。今年6月、3冠ヘビー級ベルトをかけた3WAYマッチでジェイク・リーに敗北すると、9月には青柳と戴冠した世界タッグ王座からも陥落。低空飛行が続き「宮原健斗がこのままの姿ならプロレス界が終わってしまう」と、沈痛な面持ちで話すこともあった。

相棒と手に入れた勲章を、復権の足がかりにする。昨年1月には決別もあり、自らをビジネスタッグと称することもあるが、息はぴったりと合っている。この日も、パトナー青柳を「紆余(うよ)曲折あったけど、なんだかんだ結果を出す男」と、興奮気味にたたえた。

年末のプロレス大賞ベストタッグ賞獲得へ「世の中は俺らを求めている」とアピールも忘れず。宮原節に力が戻ってきた。【勝部晃多】