元世界3階級制覇王者でWBO世界スーパーフライ級9位・田中恒成(26=畑中)が、約1年ぶりの再起戦を苦しみながら勝利で飾った。IBF同級5位・石田匠(30=井岡)に2-1(採点=96-94、94-96、96-95)のスプリット判定勝ち。田中は「後半に倒せると思ったが、追い詰めて止まって、結果あせってしまった」と振り返った。

リーチで18センチ、ひとまわり違う体格差に苦しんだ。持ち味のスピードを生かし、中盤からは左ボディー中心に攻めた。3回に鼻血を出させたが、KOチャンスはなかった。それでも「楽しむことができた。今日の内容ではまだまだですけどいいスタートは切れたと思う」と前向きに言った。

昨年大みそか、4階級制覇をかけてWBO同級王者の井岡一翔(32=志成)に挑むも、8回TKOで初黒星を喫した。トレーナーを父斉氏(54)から村田大輔氏(43)に変え、自身も生まれ変わって臨んだ一戦だった。「真逆の自分だった。今までは時間に縛られ、人の動きを気にしていた。今回は今までの緊張感はなく、(感覚的には)スパーリングに近かった」。次戦は未定だが、IBFでも上位にランクされる見込み。選択肢も増え、可能性を探っていく。【実藤健一】

<田中の一問一答>

-内容は

田中 内容は納得いくものではないが、笑顔で試合できた。

-持ち味は

田中 よかったこと、悪かったこと。悪かったことの方が多かったかもしれないが、1年やってきたことに悔いはないです。

-試合を振り返り

田中 世界を見据えるには課題多いが、このリングに戻ってきて楽しかった。

▽惜敗の石田 判定が出たので仕方ないが負けていないと思っています。田中はうまく、いい選手でした。