プロボクシング元WBO世界フライ級王者木村翔(=花形)が約2年3カ月ぶりの試合を迎える。9日、東京・後楽園ホールで堀川龍(22=三迫)との同級8回戦を控え、8日には都内で前日計量に臨み、リミット(50・8キロ)でクリア。一方、昨年の日本ライトフライ級ユース王座決定戦敗退以来の再起戦となる堀川は50・7キロでパスした。

木村にとって20年2月、フィリピンでメルリト・サビーリョ(フィリピン)に2回TKO勝ちして以来のリングとなる。18年9月、WBO王者として田中恒成(畑中)を迎え撃って敗れて以来、約3年8カ月ぶりの国内マッチでもある。木村は「久びさの日本。調整も減量もうまくいきました。勝たないと、どのチャンスもないから」と復活への意気込みを示した。

19年5月、中国でWBA世界ライトフライ級王者カルロス・カニサレス(ベネズエラ)に挑戦し、判定負けして以降、世界戦から遠ざかる。「自分に足りないものがあって負けた」と振り返りつつ、移籍先の花形ジムで世界挑戦経験のある元日本スーパーバンタム級王者木村章司トレーナー(44)の指導を受けて心身ともに変化したと強調。

「(ボクシングスタイルを)変えていけたと思う。33歳になってパンチをもらいたくない。必ず進化したところをみせたい。目指すものは高いところなので勝ちたい」と気合を入れ直した。木村トレーナーも「打たれないファイターになった」と手応えを口にした。

昨年12月には世界挑戦を待つために中国に滞在していた最中、現地プロモーターの依頼を受けてスパーリングルールでリングに上がったが、興行的な側面からルールが突然変更。相手側のラフファイトに見舞われ、足払いやバッグドロップなどで倒された。帰国後には日本ボクシングコミッションからも戒告処分を受けていた。

木村は「基本は相手のルールミスで、ケガしなくて良かった。精神的にも病みました」と率直な気持ちを明かし、日本を拠点としながら国内外問わず世界挑戦のチャンスを待つ姿勢を示した。現在は世界ランキングからも外れているものの、最終的にはWBO世界スーパーフライ級王者井岡一翔(志成)との対戦を熱望。「世界戦ができるならメキシコでも、日本でも、中国でもいい。井岡くんと対戦する時だけスーパーフライ級でやりたい」。元世界王者木村が復活への第1歩を踏み出す。