井上尚弥(29=大橋)が今回のノニト・ドネア(39=フィリピン)との3団体王座統一戦で日本軽量級最高金額となる2億円超えのファイトマネーを手にすることが7日、分かった。

これまで国内世界戦では94年のWBC世界バンタム級王座統一戦で、辰吉丈一郎が薬師寺保栄戦で1億7100万円のファイトマネーを手にしたのが軽量級の国内最高額だった。井上所属ジムの大橋秀行会長(57)は「辰吉超え、です。過去史上最高額になりました」と明言。推定2億1000万円で、日本軽量級では最高額の報酬に到達した。

19年11月の階級最強を決めるトーナメント、ワールド・ボクシング・スーパーシリーズ・バンタム級決勝で、井上は優勝賞金も含めて1試合で1億円を獲得していた。20年11月、ボクシングの聖地・米ラスベガス初進出となったジェーソン・モロニー(オーストラリア)戦で100万ドル(当時レートで1億1000万円)に到達。昨年6月のマイケル・ダスマリナス(フィリピン)戦、同12月のアラン・ディパエン(タイ)戦でも1億超えのファイトマネーを稼いできたものの、ドネアとの再戦でついに2億円の大台を突破した。

以前から井上はファイトマネーについて「プロとしてのモチベーションの1つ」とボクサーの“価値”を示す指標としてとらえてきた。米国で開催される世界戦は多彩な配信方法で得られた放送権料によりボクサーが多額の収入も得ており、世界トップクラスの報酬額は上昇している。大橋会長は「ついに軽量級でここまできたのかという思い」と感慨深げだった。

◆井上尚弥(いのうえ・なおや)1993年(平5)4月10日、神奈川・座間市生まれ。元アマ選手の父真吾さんの影響で小学1年から競技を開始。相模原青陵高時代にアマ7冠。12年7月にプロ転向。国内最速(当時)6戦目で世界王座(WBC世界ライトフライ級)奪取。14年12月にWBO世界スーパーフライ級王座を獲得し、史上最速(当時)の8戦目で2階級制覇。18年5月にWBA世界バンタム級王座を獲得し、国内最速(当時)の16戦目で3階級制覇。19年5月にWBA、IBF世界バンタム級王者に。同年11月、WBSSバンタム級優勝。家族は夫人と1男2女。身長164・5センチの右ボクサーファイター。

◆国内ボクシング報酬メモ 94年のWBC世界バンタム級王座統一戦で、辰吉丈一郎が薬師寺保栄戦で1億7100万円のファイトマネーを得たとして注目。軽量級では12年にWBC世界スーパーバンタム級王者西岡利晃が日本人で初めてラスベガスで防衛成功し100万ドル(当時のレートで約1億1000万円)のファイトマネーを手にして破格の報酬とされた。階級によって金額に差があり、通常は体重が重いクラスほど報酬も高くなる。世界トップクラスの人気を誇る中量級では、WBA世界ミドル級スーパー王者だった村田諒太が4月のゴロフキン(カザフスタン)との2団体王座統一戦で推定5億円のファイトマネーを獲得している。