総合格闘技RIZINの人気ファイター朝倉未来(みくる、29=トライフォース赤坂)とプロボクシング元世界5階級制覇王者フロイド・メイウェザー(45=米国)の対戦が、今年9月に国内開催のRIZINで実現する。両者とRIZINの榊原信行CEO(58)が13日(日本時間14日)、米国で会見を開いて発表した。日程や会場、ルール等は今月中に発表される見込み。朝倉はボクシング殿堂入りの王者を踏み台に世界へ挑戦状をたたきつける。

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既に戦いは始まっていた。黒のサングラスに黒のTシャツの朝倉と、赤い帽子にカラフルなポロシャツをまとったメイウェザー。その風貌のように、2人の言動は対照的だった。「今後、世界に名を売るために利用させていただく」。朝倉が一言、強気に言い放った一方で、メイウェザーは延々と対戦相手に関係のないことをしゃべり続けた。

約1時間の対戦発表会見のうち、8割が国際ボクシング殿堂入り名王者の発言タイム。「エキサイティングな試合がしたいならお金次第で調整してもいい。もっとも彼は8ラウンドもたないだろうけどね」と終始余裕の笑みを浮かべ、異名にたがわぬ「マネー(金の亡者)」ぶりも発揮した。

だが朝倉も負けていなかった。その後の会見で「天心がやっていたので夢物語ではないという印象。天心の試合を見た時も(ばかにするような態度に)すごく怒りがあった。ただで帰すつもりはない」ときっぱり。18年大みそかにRIZINエキシビション戦で屈した那須川天心の借りを返すことを誓った。

メイウェザーが参戦予定だった、新型コロナの影響で延期になった21年2月の「MEGA2021」では、対戦候補の最有力として名前が挙がっていた。ボクシングルールのスパーリング形式のエキシビション戦が有力視されるが「見た目の感覚では勝てる」と覚悟はできている。20年にはプロボクシング世界王者の京口紘人や竹原慎二らに21年には内山高志にボクシング指導を受け、意欲を示していた。

この日「僕はMMAファイター」「今のまま戦った方が相手は戦いにくいはず」と、あくまでも総合ファイターとしてのこだわりを見せた朝倉。「戦ったら世界中いろんな人が俺と試合をしてくれると思う」。この一戦を足がかりに、世界に羽ばたくつもりだ。【勝部晃多】

◆那須川-メイウェザー 17年に米総合格闘技UFCの元2階級同時制覇王者コナー・マクレガーとの対戦で現役生活に終止符を打ったメイウェザーは、18年大みそかにRIZINエキシビションマッチでキックボクシング界の“神童”那須川天心と対戦。1回、笑いながら戦い始めるも、那須川のパンチが左ほおをかすめると、本気モードに突入。右ボディーの後、右フックを側頭部にたたきこみ、1回目のダウンを奪取。さらに、右アッパーで2回目。そして左フックでとどめをさした。1回2分19秒のTKO勝ちだった。