「業師」矢野通(44)が頭脳的な勝利でG1初戦を飾った。16日の札幌大会で国内新日本マットお披露目となったG1初参戦の「巨漢」ジョナ(33)を敵セコンドのティトとまとめて急所攻撃する小次郎で動きを止めて9分1秒、リングアウト勝利で勝ち点2をゲットした。「らしい」勝利を挙げたが「ああ、ごめんなさい、ごめんなさい。もうわからない、もうやだ」とジョナのパワーに打ちのめされた様子だった。

試合開始後、すぐに自ら観光大使を務める北海道・登別市へのふるさと納税で手にできるTシャツでジョナの顔を覆う作戦で丸め込んだ。隠していたテーピングを取り上げられたものの、背後から後頭部を殴るとジョナの怒りを買った。体重160キロを生かしたセントーン、バックエルボー、ショルダータックルと荒々しい攻撃を浴びた。劣勢に立たされるシーンが続き、セントーンでつぶされると、コーナートップからのデス・フロム・アバーブ(ダイビング・ボディープレス)を狙われた。

何とか場外回避し、花道付近でジョナとティトに挟まれる大ピンチに陥った。しかし近づいてきたティトをジョナに投げ付け、下から急所攻撃する小次郎で股間を殴打。動けなくなったジョナに20カウントが数えられ、矢野の白星スタートが決まった。“反則”での勝利だったこともあり、試合の応援に駆けつけてくれた登別市の小笠原春一市長を意識し「今日、登別市長、見に来てくれて…こんな情けない…もうやだ」と泣きだしそうな表情だった。