わずか5カ月の特訓ながら、パワー、スピードともにレスラーたちも驚くほど“新人”離れしたパフォーマンスだった。タレントのフワちゃんが、指導を受けていた葉月(25)とタッグを組み、プロレスデビューを果たした。

勝利目前まで追い詰めるも、最後はワンダー・オブ・スターダム王者の上谷沙弥(25)に無念の3カウント。それでもファンからはどよめきが起こるほどの華麗な技を次々と披露した。そんなフワちゃんと一緒に戦った葉月と上谷が、そのすごさを語ってくれた。

2人とも「受け身の能力が高い」と口をそろえる。5月から一緒に練習してきた葉月は「もともと人から殴られたりしたことがないので、最初はどうしても怖がってしまう。フワちゃんは努力を重ねてそれを克服した。(今日が)一番格好良い受け身だった」と話す。男女問わず、プロレスラーは入門すると、ケガなどのリスクを伴うため、まずは受け身から練習する。デビューするまで自分の技ができないのもそのためだ。1年以上も攻撃技を教えてもらえない選手もいるという。

この日の試合でも上谷から何度もエルボーやラリアットを受けながらもしっかりとした受け身を取り、リングをうまく利用してダメージを最小限にとどめていた。上谷は「普通に技をかけても逃げたりすることはなかったので、思いっきりいけた」と明かす。

攻撃面では「何度も練習した」というドロップキックや、スライディングでのキックを披露。ブレーンバスターや卍固めを受けた上谷は「私は体重が結構あるのに、あんなに軽く持ち上げられるのはすごい。(卍固めは)普通に痛かった。しっかりキメられました」と語った。さらに「技と技のつなぎもスムーズ。新人の選手は次にどう攻撃するかとか迷いがある。フワちゃんはそれがなかった。相当練習してきたと思う」と絶賛した。

約15分間の戦いだったが、スターダムの関係者は「デビュー戦は体力も含め、5~10分で敗れてしまう選手が多い。15分間パフォーマンスも落ちずに戦えたのは、素晴らしいとしか言えない」。葉月も「これだけできたのは、全部彼女の努力。一番間近で見てきたのでよく分かる」と語った。

練習前には毎回自ら課題を決め“葉月先生”に指導を受けた。タレント活動が忙しい中、テレビ局にマットを引いてまで特訓してきた。「葉月さんがいたからここまでできた」。9月の葉月の誕生日にはサプライズプレゼントを用意するなど、感謝も忘れなかった。今後の参戦は未定だが、ファンの前で「本物のプロレスラーになりたい」と叫んだフワちゃん。本人は「73点」と控えめだったが、葉月と上谷に「今度はシングルで戦いたい」と言わせるほど衝撃のデビュー戦だった。【松熊洋介】