プロボクシングWBA世界ライトフライ級スーパー王者の京口紘人(28=ワタナベ)と、WBC同級級王者・寺地拳四朗(30=BMB)の王座統一戦(11月1日、さいたまスーパーアリーナ)は、約10年ぶり2度目の日本人世界王者同士による統一戦。1度目は2012年6月20日、大阪府立体育会館でWBC世界ミニマム級王者の井岡一翔とWBA同級王者の八重樫東が対戦。1~2ポイントの僅差ながら井岡が3-0の判定勝ちを収めた。

実は統一戦ではなかったが、現役世界王者同士による“世紀の一戦”は、半世紀以上前にも実現している。1970年12月3日、東京・日大講堂で、WBA世界スーパーフェザー級王者の小林弘(中村)と、一階級下のWBA世界フェザー級王者の西城正三(協栄)が、ノンタイトル10回戦で雌雄を決した。

“雑草”の異名を取った小林は26歳。右クロスカウンターを得意にした技巧派で、世界王座5度防衛に成功していた。一方、日本人初の海外での世界王座奪取に成功した西城正三は23歳で、この試合まで4度防衛中。“シンデレラボーイ”の愛称と端正なマスクで女性にも人気があった。ともに絶頂期、円熟期にグローブを交えた。

会場は1万2000人の超満員で埋まった。世界王者の意地がぶつかり合った試合は、開始から一進一退の激闘となり、どのラウンドも振り分けが難しい、ジャッジ泣かせの展開になった。判定は2-1で小林に軍配が上がった。この一戦のあと、ともに1度ずつ王座防衛に成功した。ちなみに、このノンタイトル戦を中継した日本テレビのゲスト解説を務めたのは、プロ野球巨人の長嶋茂雄と参議院議員で作家の石原慎太郎だった。【首藤正徳】