元年俸120円Jリーガーで20年末から格闘家に転向した安彦考真(45=Executive Fight 武士道)が第4代DEEP☆KICK63キロ以下級王者のKENTA(30=HAYATO GYM、RISEライト級7位)と68キロ契約3分3R(延長1R)で対戦し、判定0-3負けで格闘家キャリア9戦目で初の黒星を喫した。

安彦は試合後の取材で「悔しい気持ちもありますが、本当に出し切りました。今の僕の限界です。強かったなと思いますし、KENTA選手が試合を受けてくれて本当に感謝しています」と語った。

試合中はこれまで戦った相手とは違う圧力と技術を感じたといい「効いたなと思って畳みかけられるのが自分のいいところでしたが、今日は何が効いていたのかわからなくて」と振り返り「間違いなく今までやった中で比較対照にならない、ステージが違いました。でもそれもやってみないとわからないので。僕のスタイルで戦おうと思いましたが、強くてタフでしたし、とっても素晴らしい選手だったなと思います」と相手をたたえた。

終盤は圧力をかけられ何度もパンチを浴びる場面もあったが「ひるむことなく立ち続けたいと思っていた」とダウンは奪われなかった。「意志さえあれば何度で立ち上がれるというのが人生のテーマなので。それを示せた3分3Rだったかなと思います」と力を込めた。

試合後はKENTAから勝利者トロフィーを譲り受ける場面もあった。「『安彦選手の勝ちですよ。トロフィーもらってください』と声をかけられた」と明かし「KENTA選手からのリスペクトだと思っています。素晴らしい精神を感じ取ることができました」。最後は「この機会を与えてくれた方、全ての人に感謝します。安彦考真、45歳。まだまだいきます。もう少し格闘家としてのキャリアを輝かせるために、皆さんのお力を貸していただきたいなと思います。よろしくお願いします」とあいさつした。

◆安彦考真(あびこ・たかまさ)1978年(昭53)2月1日、神奈川県生まれ。高校3年時に単身ブラジルへ渡り、19歳で地元クラブとプロ契約を結んだが開幕直前のけがもあり、帰国。03年に引退するも17年夏に39歳で再びプロ入りを志し、18年3月に練習生を経てJ2水戸と40歳でプロ契約。出場機会を得られず19年にJ3YS横浜に移籍。同年開幕戦の鳥取戦に41歳1カ月9日で途中出場し、ジーコの持つJリーグ最年長初出場記録(40歳2カ月13日)を更新。20年限りで現役を引退し、格闘家転向を表明。21年4月にアマチュア格闘技イベント「EXECUTIVE FIGHT 武士道」で格闘家デビュー。プロとしては22年2月16日にRISEでデビューを果たした。175センチ。

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