プロボクシングWBC世界ミニマム級3位の重岡優大(25)と、IBF世界同級4位の弟銀次朗(23=ワタナベ)が、節目の日に出身地・熊本に「兄弟同時世界王者誕生」の吉報を届けることを誓った。14日、都内の日本ボクシングコミッションで行われた予備検診にそろって臨んだ。

試合当日の4月16日は、偶然にも7年前の2016年に熊本地震の本震があった日。「たまたま同じ日になった。勝って熊本に少しでも明るいニュースを届けるチャンス」と銀次朗。優大も「熊本を盛り上げたい。少しでも喜ばせたい」と声をそろえた。

当時、熊本市の開新高に在学中だった銀次朗は地元で被災。電気と水道が止まり、1週間も車中生活を余儀なくされた。一方、大学生で都内にいた優大は、家族の反対を押し切って飲料水を持ってすぐに福岡経由で熊本に戻り、家族をサポートした。

生まれも育ちも熊本市で、ともに開新高時代にはボクシングで高校総体連覇の実績がある。「いろんなボクサーが地方から東京に出てきているけど、僕たちは誰よりも地元愛が強い。ずっと熊本を誇りに思っている。友達や家族も熊本にいる。僕たちが口にすることによって、熊本の人たちの耳にも入ると思うので、1人でも多くの人に見てほしい」と、優大は2人の気持ちを代弁した。

試合は東京・代々木第2体育館で行われ、優大がWBC世界ミニマム級暫定王座決定戦で同級7位のウィルフレド・メンデス(26=プエルトリコ)と対戦。銀次朗がIBF世界ミニマム級暫定王座決定戦で、同級3位で前IBF世界同級王者のレネ・マーク・クアルト(26=フィリピン)と対戦する。この日初めてクアルトと対面した銀次朗は「相手はちょっとなめている感じがしたので腹が立った。火がついた。やりがいがある」。優大も「(メンデスの)印象は別にない。いいやつそう。それよりクアルトをぶん殴りたい」と、クアルトの態度に兄弟そろってスイッチが入っていた。【首藤正徳】