日本初の世界2団体統一王座に就いたWBC・WBA世界ミニマム級王者の井岡一翔(23=井岡)が、日本ボクシング界の「視聴率男」に躍り出た。20日の八重樫東(29)との王座統一戦のテレビ平均視聴率が関東地区で18・2%、関西地区で22・3%をマークしたことが21日、分かった。特に関西での瞬間最高は29・1%と驚異的な数字だった。井岡の人気に加えて激闘が反映され、最近1年間のボクシング中継ではWBA世界バンタム級王者・亀田興毅の防衛戦も上回り、最高の数字となった。(数字はビデオリサーチ調べ)

 井岡の顔には、激闘を物語る傷が残っていた。一夜明けたこの日、大阪市内の所属ジムで会見し「体も顔も痛みがある。疲れを感じるが、勝ってよかったとホッとしている」と話した。日本人初となる世界2団体の王座統一。祝福メールと電話が殺到し、公式ブログの試合前後のコメントも1000件を突破した。

 八重樫と壮絶な打撃戦を展開した統一戦は、TBS系で全国生中継され、高視聴率をたたき出した。関東地区平均は18・2%、井岡の地元関西地区ではより高い平均22・3%。瞬間最高は東西とも採点結果が発表された午後9時9分で、関西では29・1%(関東地区22・7%)と驚異的だった。

 これらは井岡の世界戦4試合目で自己最高で、ボクシング中継全体でもここ1年間で最高の数字だ。昨年8月の亀田興毅のV2戦16・7%(関東地区平均)を上回った。お茶の間に強さと人気を認められた井岡は「少しでも高い方がうれしい。ボクシングを通じて有名になりたい」と喜んだ。叔父で元世界王者の井岡弘樹会長も「視聴率で言えば一翔が日本ボクシング界のエースでしょ」と話した。

 TBSの北村公一郎プロデューサーも驚いた。「最近のスポーツ中継で20%を超えるのは、サッカー日本代表戦か、バレーボールの五輪最終予選くらい。今の井岡君の試合は、それらに匹敵するコンテンツになった。次も確実にゴールデンで中継します。関西で平均30%を狙いたい」。

 次戦について井岡は「ライトフライ級でやりたい」と初めて明言。ミニマム級両王座は返上し、1階級上げて年内の2階級制覇を視野に入れた。標的候補には32戦全勝27KOのWBA同級王者ローマン・ゴンサレス(25=ニカラグア)が挙がる。「これからも期待に応える試合をどんどんやっていきたい」。4階級制覇が目標の井岡。歩みを止めるつもりはない。【大池和幸】

 ◆井岡と視聴率

 これまでの井岡戦の最高は昨年8月の初防衛戦で、関東平均16・6%(関西19・2%)。関西のボクシング中継での20%超えは、10年3月の亀田興毅-ポンサクレック戦以来2年3カ月ぶり(関東22・1、関西25・9%)となった。「世紀の一戦」こと、94年12月の薬師寺-辰吉戦(WBCバンタム級王座統一戦)は関東平均39・4%を記録した。