初代タイガーマスクの佐山サトル(55)が主宰する掣圏真陰流興義館は18日、都内の道場で大鵬の孫、納谷幸男(18)の入門を発表した。大横綱のDNAを受け継ぐ納谷は、入門会見後に佐山からパンチ、キック、寝技の手ほどきを受けたが、196センチ、120キロの巨体が持つパワーで、いきなり周囲をあぜんとさせた。

 佐山が興奮の声を上げた。納谷の右足のキックが、サンドバッグにめり込むようにさく裂した。「おおっ、速い!

 体重あるからね」。キックの角度や体の向き、軸足の送りなど、細かく指導していくと、その威力はさらに増した。「あんなにでかくて、重たくてスピードがあるとは思わなかった。覚えも早い」と、数々の格闘家を育ててきた佐山もうなるしかなかった。

 入門初日にいきなり実戦に近い練習をさせたのは、その素質に注目したからだ。会見で佐山は「まだ、本人が素質に気づいていないから、自信もない。武道の習得から始め、必ず世界王者にしてみせる」と明言した。会見では自信なさげに話していた納谷は、練習を終えると「ここまできたらやるしかない。後には引けない」と厳しい世界に飛び込んだ覚悟を口にした。【桝田朗】

 ◆納谷幸男(なや・ゆきお)1994年(平6)8月17日、大相撲の貴闘力(のちの大嶽親方=退職)と大鵬の三女美絵子さんの長男として生まれる。幼少時から相撲はしていたが、鳥取西中に相撲留学した直後に断念。帰京して深川六中では運動部に属さず、埼玉栄高では相撲部に籍があるものの、練習はしていない。身長196センチ、体重120キロ。足の大きさは32センチ。

 ◆掣圏真陰流興義館

 初代タイガーマスクの佐山サトルが総監を務める武道団体。1995年5月創設。武道を根本とした格闘技で、ロープのない八角形のリングで戦い、入場時に日本刀を携えることが義務化されている。リアルジャパンは団体を運営する会社名。