メインコンテンツ
第9回大相撲総選挙
選挙後記
時代に即しバランス取れた結果/渡辺記者
- 朝乃山の右腕につかみかかる炎鵬(2020年初場所)
-
渡辺記者の順位予想 1位 炎鵬 6位 正代 2位 朝乃山 7位 鶴竜 3位 照ノ富士 8位 白鵬 4位 貴景勝 9位 隆の勝 5位 遠藤 10位 琴ノ若
コロナ禍も反映した結果…と読み解くのは邪推だろうか。ウイルスという見えない敵との長期戦を強いられる中、ファンが求めたいのは心身ともに屈することのない「力強さ」。精神的に沈みがちな心を和ましてくれる「癒やし」。ウィズコロナの生活で求められる「巧みさ」。これらが混在し、うまくベスト10が散りばめられた印象だ。
「力強さ」で言えば、やはり番付上位。勢いも加味され、両横綱を退け貴景勝と朝乃山がつばぜり合いを演じたのは自然の成り行きだろう。さらに押し相撲と四つ相撲の、それぞれ代表格ともいえる両者が東西のトップに立ったのは、角界にとっても理想形と言えそうだ。ここには邪魔するプライドとケガ、内臓疾患を乗り越えた9位照ノ富士、春場所で活躍した10位隆の勝も入る。
初場所で優勝した徳勝龍には強さの印象より、喜々とした表情やコメント力から「癒やし」系だろう。やんちゃ気質の阿炎、ネガティブさが受ける正代もこの系統。もちろん成績を伴い上位にいてこその評価だ。
残る鶴竜、炎鵬、遠藤は「癒やし」と「巧みさ」を兼ね備えた万能型(もちろん「力強さ」もあることは言うまでもない)とみる。投票前予想からは白鵬と琴ノ若が10傑圏外となり、代わって徳勝龍と阿炎がベスト10入りしたが、時代に即したバランスの取れた投票結果だった。【渡辺佳彦】