碧山(31=春日野)の平幕優勝はならなかった。白鵬を星1つ差で追い、本割では嘉風をはたき込みで破った。今場所初となる三役を相手に力感ある立ち合いで体を起こした後、両手で強引に頭を押さえつけた。

 しかし、結びの一番で白鵬が日馬富士に勝ったため、優勝決定戦進出を逃した。

 「残念です。ここまで来たから、もう一番とりたかったけど」と心境を口にしたが、後悔はなさそう。「緊張したけど、土俵に上がったらなくなった。大事なところで集中できた」。自己最高の13勝2敗に「優勝の成績でしょう。後は運ですね」と言い、満足感を漂わせた。

 前夜、東京にいるビオレタ夫人に恒例のテレビ電話をかけると「アドレナリンが出過ぎるかもしれないけど、自分の相撲をとれば大丈夫よ」と励まされた。まるで師匠のような言葉に「ビックリしたよ」と笑う。

 場所中、同じ部屋の栃ノ心、栃煌山と連日朝稽古で相撲を取り、調子を上げた。古傷の腰、左膝との付き合い方も分かっている。「今のような相撲をとっていれば、体の痛みもない。大丈夫。ガーンと行って、突っ張って、前に出る。あとは集中するだけ」。元関脇の31歳は、来場所以降の活躍にも自信を見せた。