横綱日馬富士(33=伊勢ケ浜)が大きく胸をなで下ろした。3連敗で迎えた結びの一番。負ければ、31年春場所の横綱宮城山以来86年半ぶりの「4日連続の金星配給」となる中で、西前頭3枚目の千代大龍(28=九重)に左張り手からもろ差しになる。この3日間で見せていた雑な攻めでなく、慎重な取り口。最後は相手の小手投げもこらえて、寄り切った。「自分の相撲に集中して落ち着いて取れました」と言い、ホッとしたかと聞かれると「そうですね」と大きく息をついた。

 立ち合いでミスを犯した3日目の琴奨菊戦から、泥沼の3連敗。14年ぶりに3日連続の金星配給を記録してしまった。

 ただ、前日の5日目は打ち出し後に戻った部屋から出てくる際、集まった報道陣への第一声で「休場します」と真顔で何度も言い、そして「冗談ですよ。しぶとく取ります。皆さん、休場を期待していたでしょうけど、ご期待に応えられずに、すみません」と笑わせる余裕を見せた。どこか吹っ切れた様子。それが、この日の相撲にも表れた。

 3日間の心境を「忍ぶってことだね」と表した横綱。この日から弟弟子の大関照ノ富士も休場し、今場所は1918年(大7)夏場所以来、99年ぶりに3横綱2大関が休場する異常事態に陥った。「今まで初めてだね、こんなに休むなんて」と驚いた日馬富士だが「一番に対する気持ちは変わらないので、しっかり集中して頑張っていきたい」。残された1人横綱の、懸命の土俵が続く。