大相撲の貴乃花親方(45=元横綱)が、前例のない理事解任の処分を受けることが正式決定した。日本相撲協会は4日、東京・両国国技館で臨時評議員会を開き、巡業部長でありながら元横綱日馬富士関の暴行事件の報告を怠ったとして、解任決議を全会一致で承認した。池坊保子議長は貴乃花親方の言動に厳しい注文をつけ、“改心”を迫る格好となった。これで事件の当事者、関係者の処分は終結した。

 役員候補選挙を約1カ月後に控える中、貴乃花親方の理事解任が正式に決まった。全7人の評議員のうち2人が欠席し、表決できない池坊議長を除いた4人が満場一致。12月28日の臨時理事会の決議が覆されることはなく、役員待遇委員への2階級降格が決まった。巡業部長を外れ、指導普及部副部長を務めることも発表された。臨時評議員会終了後、解任決定を協会職員が電話で貴乃花部屋に連絡すると、ほどなく本人から「分かりました」と折り返しの連絡が入ったという。

 秋巡業中に起きた元日馬富士関の暴行を、巡業部長でありながら報告を怠り、その後も協会の調査協力を拒否したことが解任理由だった。池坊議長は「公益法人の役員としてはおよそ考えられない行為であり、役員の忠実義務に大きく違反している」と厳しく非難。さらに「相撲道は礼に始まり礼に終わる」と前置きした上で、貴乃花親方の一連の言動を「著しく礼を欠いていた」とばっさり。「理事解任の決議を厳粛に受け止め、真摯(しんし)に反省し、今後は協力し合い礼をもって行動していただきたい」と、教育的指導ともいえる“改心”を訴えた。

 史上初の理事解任となったが、約1カ月後の役員候補選挙では当選が確実視されている。一方で評議員会は理事の選任についても強い権限を持つ。選挙で当選しても“改心”が見られなければ、理事として認められない可能性がある。その可能性について池坊議長は「将来的な予測に関して述べるのは控えたい」と話しつつ「評議員会は理事会とは別に相撲協会の管理、運営などに対して正しく行われるようにする機関」と、否定しなかった。法的手段に訴える可能性も否定できない貴乃花親方が、今後の言動にクギを刺された。