横綱白鵬(32=宮城野)が、改心して大相撲初場所(14日初日、東京・両国国技館)に臨む。8日、東京・墨田区の友綱部屋に出稽古して、平幕の魁聖らと16番連続で相撲を取った。昨年12月の横綱審議委員会(横審)の臨時会合で苦言を呈された張り手が1度だけ出たが、反省するかのように稽古後に自ら、取り口を改善する意向を示した。

 今年初めての出稽古で、白鵬は魁聖、十両旭秀鵬、山口を相手に16番取って14勝を挙げた。「質よりも番数を追い込んでスタミナを意識した」と話し、報道陣に問われることなく自ら口を開いた。「横審でも言われましたけど、なるべくクセを直していきたいなと。稽古で直していきたい」。反省の色を浮かべた表情で、自分に言い聞かせるように言った。

 取り口の改善を意識して、右肘を曲げて腕全体でぶつかったり、片方の手を伸ばしてけん制するなど数種類の立ち合いを試した。これまでも、取り口や言動など、横審から注意を受けてきたが、簡単には受け入れてこなかった。しかし、元横綱日馬富士関の暴行事件の現場にいたとして1、2月の減俸処分を受けるなど、これまで以上に横綱として一挙手一投足が注目される。それを自分でも痛感しているかのようだった。

 クセを直すきっかけは、昨年12月の横審の臨時会合だった。北村正任委員長から「張り手、かち上げ、これが15日間のうちの10日以上ある取り口は横綱のものとは到底言えない」などと投書を引用されて、苦言を呈された。5日の横審の稽古総見で1度だけ張り手をすると、再び周囲から厳しい目を向けられていた。

 しかし、最後の取組で右の張り手が出てしまい「1つの勝つための技というか…」と困惑気味。今日9日も出稽古に行く予定で、5日後に控えた初日に向けて急ピッチで横綱相撲を再構築する。【佐々木隆史】